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専門科目動画25本で知識を定着させていきましょう!

カリスマチャンネル

【グループワーク】ヘルパーセラピー原則ってなに?

グループワーク 【新カリ】ソーシャルワークの理論と方法
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グループワークの起源

グループワークはその名の通りグループで話し合いながら、気持ちを吐き出したり、課題解決などを図ったり、グループ活動による利点を生かしたソーシャルワークで、その源流はセツルメントやYMCAです。

セツルメント運動

社会福祉分野でのグループワークの源流は、セツルメントです。

セツルメントはスラム街などの貧困地域に移住して支援するものでした。

その中で生活困窮者の教育と教養の向上に力を入れましたが、その時に用いられた手法がグループワークでした。

YMCA(Young Men Christian Association)

教育分野でのグループワークの起源がYMCAです。

YMCAは、1844年に青少年の精神を改善するという趣旨のもと12人の勤労青年によって生まれた団体です。

YMCAでは青少年に余暇をレクリエーションやクラブ活動に使うよう指導し生活改善を促しました。

カリスマくん
カリスマくん

セツルメントもYMCAもイギリス発祥だね。

グループワークの展開過程

準備期

準備期は、ワーカーがグループワークの準備を行う段階です。

この段階では「波長合わせ」が行われます。

「波長合わせ」とは、メンバーがどのような思いや感情、期待や不安を持ってグループワークに臨むのかをワーカーがあらかじめ理解しておくことです。 それによって、あらかじめ予想される事例について予測しておきます。

カリスマくん
カリスマくん

波長合わせの語感からは想像しにくいので要注意!「波長合わせ」と聞くとメンバー同士の波長合わせというイメージだけど、全く違うよ。

開始期

開始期では「契約」を行い、ワーカーの役割やグループワークでのルールなどを説明し、援助関係を形成します。

作業期

作業期では、実際のグループワークを通してワーカーとメンバーが課題解決に向けて活動を行います。

その中で集団規範が形成されていき、「グループの凝集性」も高まっていきます。サブグループが形成されることもあります。

カリスマくん
カリスマくん

「グループの凝集性」とは、メンバー同士のつながりや絆のことだよ。凝集性が高いということは絆が深いということだね。

終結・移行期

終結期は、個人的事情や思いの分かち合いがなされ、グループワークを終える段階です。

さらに、振り返りや反省などを行い次の段階へつなげる移行期となります。

自助グループ(セルフヘルプグループ)

自助グループとは、交通事故被害者の会とか、薬物依存者の会のような、同じ境遇にいる人達の集まりです。

他にも、ひとり親の会、犯罪被害者遺族の会、不登校やひきこもりの会、同性愛者の会などなど、本人や家族が参加するグループです。

なので専門職からは独立した存在ですが、専門職の援助を必要とする場合と、当事者のみで専門職を排除する場合があります。

自助グループとはどんな集団かを知っていれば解ける優しい問題が出題されますので、自助グループの定義を覚えておきましょう。

自助グループはセルフヘルプグループとも呼ばれることも覚えておきましょう。

ヘルパー・セラピー原則

リースマン(Riessman,F.)とガートナー(Gartner,A.)によって提唱されたヘルパー・セラピー原則(ヘルパー・セラピー原理)」は、援助する側が与え援助される側が受け取るという関係性ではなく、「援助者も人を援助することにより得ているものがある」という考え方のことです。

例えば自助グループでは、参加者が他の参加者を支援することで、支援した側が「他者の役に立てている」という自己肯定感を得て自分の存在意義を再認識することができます。

グループワーク5人衆

G.コイル

コイル(Coyle, G.)は、「グループワークの母」と呼ばれ、YMCAやセツルメントでの実践経験からグループワークを理論的に体系化しました。

コイルは、「グループワークとは任意に作られたグループで、余暇を利用してグループリーダーの援助のもとに実践される一種の教育的過程であり、グループ経験を通して個人の成長と発達を図るとともに、社会的に望ましい目的のために各メンバーがグループを活用することである。」と、グループワークを定義しています。

G.コノプカ

コノプカ(Konopka, G.)は、グループワークの14原則を示し、収容施設入所者、非行少年、情緒障害児に対する治療教育的​なグループワークを開拓しました。

<グループワークの14原則>
・メンバーの個別化
・グループの個別化
・受容
・ワーカーとメンバーの意図的な援助関係
・メンバー同士の協力の促進
・グループ過程の修正(必要に応じてグループの過程を変更)
・参加の原則(メンバーの能力に応じた参加を奨励)
・問題解決過程へのメンバー自身の関与
・葛藤解決の経験
・経験の原則(新たな諸経験の機会を提供)
・制限の活用(メンバーやグループ全体の状況によって制限を巧みに活用)
・プログラムの意図的活用
・継続的評価
・グループワーカー自身の活用
カリスマくん
カリスマくん

グループワーク5人衆のうちコノプカだけ4文字なので、14原則の「4」とリンクさせて覚えてね。

R.D.ヴィンタ―

ヴィンター(Vinter, R.)は、グループを手段として活用し、各メンバーの個別の目標達成のため積極的に介入する「治療モデル」を提唱しました。

W.シュワルツ

シュワルツ(Schwartz, W.)は、ソーシャルワーカーの役割をメンバーとグループの媒介者とし、「相互作用モデル」を提唱しました。

W.ニューステッタ―

ニューステッター(Newstetter, W.)は、「グループワークは教育的過程であって、自発的なグループ参加を通して、個人の発達と社会的適応を目的とするとともに、そのグループを社会的に望ましい諸目標を拡充する手段として活用することである。」とグループワークを捉えています。

カリスマくん
カリスマくん

「グループワークは教育的過程である」というのは、グループワークの母であるコイルと同じだよ。

彼は、「地域社会を構成するグループの代表者同士が集まってグループ間の意見調整するのがよい」とし、コミュニティオーガニゼーションの技法の一つとして、「インターグループワーク論」を提唱しました。

地域内のグループ間の関係調整によって各グループの協働を促進するという理論です。

まとめ

グループワーク5人衆 キーワード
G.コイル グループワークの母
G.コノプカ グループワークの14原則
R.D.ヴィンタ― 治療モデル
W.シュワルツ 相互作用モデル
W.ニューステッタ― インターグループワーク

日本人でグループワークと言えば永井三郎です。

1951年「グループワーク小團指導入門」の著者です。

カリスマくん
カリスマくん

子犬(コイル)のお母さん(グループワークの母)がワルツ(シュワルツ)を一緒に(相互作用モデル)踊ったら、ビンタ(ヴィンター)をくらって治療(治療モデル)したが、プッカリ(コノプカ)腫れて重症(14の原則)となったニュース(ニューステッター)がインターネット(インターググループワーク)で広まった。

グループワーク3つのモデル

先ほどのグループワーク5人衆のうち二人は、グループワークのモデルを提唱していました。

治療モデル

ヴィンタ―がグループワークの治療モデルを提唱しました。

治療モデルは障害者や犯罪者、孤立者等の非常に重い課題を抱える人たちを対象に、矯正や治療を目的としたグループワークのモデルです。

相互作用モデル

シュワルツがグループワークの相互作用モデルを提唱しました。

ワーカーが媒介して個人と社会の相互援助システムを構築するのが相互作用モデルです。

社会的諸目標モデル

社会的諸目標モデルは、ワーカーがグループ過程を促進して個人やグループを取り巻く環境の変革をめざすモデルです。コイルやトレッカー(Trecker,H.B.)らが提唱しました。

【グループワーク】「波長合わせ」の意味を誤解するな
グループワークでは「波長合わせ」の意味を勘違いしてはいけません。間違いやすいため国家試験に頻出です。

過去問

第23回 問題44 

次の記述のうち、グループワークにおいて精神保健福祉士が行うこととして、適切なものを1つ選びなさい。
1 グループ内の規範を定めずに、メンバーの自由な活動を推進する。
2 メンバーの役割を固定して、効率的にプログラムを進行する。
3 メンバーの体験談を活用して、社会的スキルの獲得を促進する。
4 メンバー間の葛藤を回避して、グループ活動が円滑に進むようにする。
5 終結期では、メンバー間の凝集性を強化する。

1 グループ内の規範を定めずに、メンバーの自由な活動を推進する。
間違いです。グループ内の規範を定めることが精神保健福祉士の役割です。

2 メンバーの役割を固定して、効率的にプログラムを進行する。
間違いです。メンバーの役割を固定してはいけません。

3 メンバーの体験談を活用して、社会的スキルの獲得を促進する。
これが正解です。

4 メンバー間の葛藤を回避して、グループ活動が円滑に進むようにする。
間違いです。メンバー間の葛藤もグループワークの醍醐味です。

5 終結期では、メンバー間の凝集性を強化する。
間違いです。終結期にメンバー間の凝集性を強化するのでは遅いです。

第22回 問題12 

次のうち、セルフヘルプグループにおけるヘルパー・セラピー原則の説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 専門家が有する専門的知識と同等の体験的知識を取得すること
2 自らが他のメンバーを援助することによって自分自身に効果が生まれること
3 専門資格の取得を目指してグループに参加すること
4 主治医と共にグループミーティングに参加すること
5 自助具などの作成プログラムにより自立を目指すこと

ヘルパー・セラピー原則は、援助する側も人を援助することにより得ているものがあるという考え方のことです。ということで選択肢2が正解です。

第26回 問題46

統合失調症の娘をもつEさん(70歳、女性)は10年前より家族相談員として活動している。ある日の相談会に、Fさん(45歳、女性)が初めて相談に訪れ、「息子が病気になったのは親のせいなのでしょうか」と沈鬱な表情で話した。Eさんは、「私も娘が病気になった頃は自分を責めてばかりでした」と話すと、Fさんは、「Eさんもそうだったのですか」と言い、涙を流した。その後Fさんは度々相談会に訪れ、半年経った頃には、「自分を責めてもしょうがないですね。自分の人生を楽しんでもいいですよね」と笑顔で話すようになった。EさんはFさんの変化に励まされ、相談員の活動にやりがいを感じた。
次のうち、家族相談員の活動を通して、Eさんにもたらされたことを示す概念として、適切なものを1つ選びなさい。
1  ピア・アドボケイト
2  カタルシス
3  ヘルパー・セラピー原理
4  バウンダリー
5  リフレーミング

選択肢3が正解です。

第21回 問題45 

次の記述のうち、グループワークの作業期における精神保健福祉士の関わりとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 メンバーのニーズを把握して計画を立てる。
2 グループ内でのルールをメンバーと決める。
3 個々のメンバーと波長合わせを行う。
4 グループ内に形成されたサブグループを活用する。
5 グループ目標の達成度をメンバーと評価する。

1 メンバーのニーズを把握して計画を立てる。
これは「準備期」の内容です。

2 グループ内でのルールをメンバーと決める。
これは「開始期」の内容です。

3 個々のメンバーと波長合わせを行う。
これは「準備期」の内容です。

4 グループ内に形成されたサブグループを活用する。
これが正解です。

5 グループ目標の達成度をメンバーと評価する。
これは「終結期」の内容です。

第21回 問題48 

精神保健福祉センターのA精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)のところへ、先日、市政だよりを読んでセンターのことを知ったというBさん(60 歳、女性)が訪問してきた。
Bさんは、「仕事も辞めて、パチンコばっかりする息子に困っている。
嫁と孫にも逃げられ、実家に転がり込んできた。やめろと言っても怒るばっかりだし、無理やりパチンコ代をくれとせがまれるんです。
いつまでこの子のことで手を煩わせなければならないのか・・・。つらいです」と話した。
次のうち、この場面でA精神保健福祉相談員が紹介したBさん自身が利用できる社会資源の情報として、適切なものを1つ選びなさい。
1 婦人保護施設
2 セルフヘルプグループ
3 生活福祉資金貸付制度
4 家庭裁判所
5 一時生活支援事業

選択肢2が正解です。

第16回 問題42

次の記述のうち、精神保健福祉士が行うグループワークとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 精神科病棟では、グループ活動におけるメンバーの発達や成長を他の専門職とともに評価する。
2 地域活動支援センターでは、プログラムを参加メンバーの主治医が指示した内容にする。
3 就労継続支援B型事業所では、グループワークに活用する資源を施設内にとどめる。
4 保健所デイケアでは、全員にグループへの参加を義務づける。
5 精神科デイケアでのグループワークでは、同ーメンバーで期間を限定せずに活動を継続し、安心感を保持する。

1 精神科病棟では、グループ活動におけるメンバーの発達や成長を他の専門職とともに評価する。
これが正解です。

2 地域活動支援センターでは、プログラムを参加メンバーの主治医が指示した内容にする。
間違いです。プログラムは主治医が指示した内容ではなく参加メンバー等と相談して決めます。

3 就労継続支援B型事業所では、グループワークに活用する資源を施設内にとどめる。
間違いです。B型事業所では、社会参加という意味でも施設外の資源を活用することが望ましいです。

4 保健所デイケアでは、全員にグループへの参加を義務づける。
間違いです。全員にグループへの参加を義務づけるのはおかしいです。

5 精神科デイケアでのグループワークでは、同ーメンバーで期間を限定せずに活動を継続し、安心感を保持する。
間違いです。同一メンバーで期間を限定しないと、多くの人間関係を経験できなくなってしまいます。

第24回 問題43

V地域活動支援センターのF精神保健福祉士は、一人暮らしをしている利用者を対象としてグループワークを始めることとした。F精神保健福祉士は、開始に当たり、参加するメンバーと個別に面接を行った。最近通い始めたGさんは、「まだ、みんなになじめていないので緊張します」と話した。F精神保健福祉士は、Gさんがグループに対して期待することや不安に感じることを聞くとともに、一人暮らしの様子を聞きながら、Gさんの考えや性格傾向についても把握を試みた。
次のうち、この時点でF精神保健福祉士が活用した援助技術として、適切なものを1つ選びなさい。
1 アイスブレイク
2 集団規範の形成
3 感情転移の活用
4 個人体験の分かち合い
5 波長合わせ

選択肢5が正解です。グループワークの事前準備です。

第26回 問題25

次のうち、ソーシャルグループワークについて、コノプカ(Konopka, G.)が提唱したものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1  社会的諸目標モデル
2  社会的学習理論
3  相互作用モデル
4  課題グループ
5  実践における14の原則

選択肢5が正解です。コノプカはグループワークの14原則を提唱しています。

次の記事

次は、ソーシャルアクションについて。

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