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【精神科リハビリテーション】リカバリーやレジリエンスという理念

精神科リハビリテーション精神医療&精神保健
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リハビリテーションの定義 by WHO

リハビリテーション4種

1968年、WHOによると「リハビリテーションとは、医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な最高レベルに達するようにすること」と定義しています。

一般的には、リハビリと言えば身体的機能の回復などを目指す「医学的リハビリテーション」をイメージしますが、もっと広い意味で以下の4分野にまたがります。

・医学的リハビリテーション
・社会的リハビリテーション
・職業的リハビリテーション
・教育的リハビリテーション

包括的リハビリテーション

包括的リハビリテーション(トータルリハビリテーション)とは、医学的リハビリテーション、社会的リハビリテーション、教育的リハビリテーション、職業的リハビリテーションを総合的に提供するものです。

「精神科リハビリテーション」の定義 by アンソニー

アンソニーは「精神科リハビリテーションとは、長期にわたり精神障害を抱える人が、専門家による最小限の介入でその機能を回復するのを助け、自分の選んだ環境で落ち着き自分の生活に満足することができるようにすることである」と定義しています。

ポイントは、「専門家の介入は最小限であるべき」という点です。

そして、アンソニーはリハビリテーションの基本原則を以下の通り示しています。

<リハビリテーションの基本9原則>
1 障害者の能力の改善
2 当事者自らの行動の改善
3 多様な技術の駆使
4 職業上の予後の改善
5 構成要素として不可欠な希望
6 熟慮した依存性は究極の自立
7 当事者参加
8 当事者の技能開発と環境的支援開発
9 長期の薬物療法は必要条件ではあるが十分条件とはいえない

ポイントとしては、「熟慮した上で依存を増やすことは、結果的には本人の自立につながる」という点です。

「精神科リハビリテーション」の定義 by ウィング

ウィングは「精神科リハビリテーションとは、精神障害に伴う社会的原因を明らかにし、予防し、最小にすると同時に、個人が自らの才能を伸ばし、それを利用して、社会的役割の成功を通じて自信と自尊心を獲得することを助ける過程である」と定義しています。

ポイントは「自信」と「自尊心」、これは「セルフエフィカシー」と「セルフエスティーム」ですね。

精神科リハビリテーションの理念

精神科におけるリハビリテーションの理念は、「リカバリー」と「レジリエンス」です。

リカバリー

リカバリーとは、障害があってもその人らしい充実した生産的な生活を送るための社会的役割を獲得し、自分自身が希望する自分になるという過程を重視します。
アンソニーやディーガンが提唱していますが、どちらも「過程を重視」することを説いています。

レジリエンス

レジリエンスとは回復力や復元力のことで、ストレスや逆境に直面したときにそれに対応し克服していく力のことです。

【グリーフケア】レジリエンスって何?
グリーフケアグリーフとは「深い悲しみ、悲嘆」のことです。大切な人を失ったりすると喪失感に打ちのめされそうになります。このような「グリーフ」をケアするのがグリーフケアです。グリーフケアでは、悲嘆が正常な反応で...

過去問 

第18回 問題38

精神科リハビリテーションの基本原則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 疾患ごとにアプローチを統一する。
2 本人の依存を防いで自立度を高める。
3 全過程を一貫した計画で実施する。
4 本人と専門職の二者関係で展開する。
5 疾病管理と再発予防の視点を持つ。

1 疾患ごとにアプローチを統一する。
間違いです。バイステック7原則の「個別化の原則」のように、精神科リハビリテーションにおいても個別性が重視されます。

2 本人の依存を防いで自立度を高める。
間違いです。アンソニーは「熟慮された上での当事者の依存度を増やすことは、当事者の自立につながる」としています。

3 全過程を一貫した計画で実施する。
間違いです。アンソニーは「さまざまなテクニックを駆使し臨機応変であること」としています。

4 本人と専門職の二者関係で展開する。
間違いです。本人と専門職との二者関係ではなく、あらゆる社会資源を活用します。

5 疾病管理と再発予防の視点を持つ。
これが正解です。

第19回 問題39

精神科リハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なものを2つ選びなさい。
1 専門職の介入を最大限に行って生活能力の改善を図る。
2 能力の向上だけでなく、自信を取り戻すことを助ける。
3 障害があっても、その人らしい生き方の実現を目指す。
4 医学的リハビリテーションを経て、他のアプローチを行う。
5 どのような環境にも適応できるように本人の技能を開発する。

1 専門職の介入を最大限に行って生活能力の改善を図る。
間違いです。専門職の介入は最小限にとどめます。

2 能力の向上だけでなく、自信を取り戻すことを助ける。
正しいです。

3 障害があっても、その人らしい生き方の実現を目指す。
正しいです。

4 医学的リハビリテーションを経て、他のアプローチを行う。
間違いです。医学的リハビリテーションありきではありません。

5 どのような環境にも適応できるように本人の技能を開発する。
間違いです。本人が関心がある環境に適用できるようにすることが優先です。

第19回 問題41

精神科リハビリテーションの評価と計画策定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 長期目標は、具体的で現実的なものを選別して設定する。
2 計画には、障害の理解に向けた周囲への働きかけも含まれる。
3 資源評価には、本人の問題解決技能の評価も盛り込む。
4 機能評価は、本人ができていないことに焦点化する。
5 計画の目標は、日常生活動作(ADL)の改善におく。

選択肢2が正解です。

第20回 問題38

精神科リハビリテーションの原則に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 発病前の状態に戻すことを到達点とする。
2 回復期への移行とともに速やかに開始する。
3 特定の技法やプログラムを基本とする。
4 個人の社会生活技能の改善と環境面での支援開発を行う。
5 障害支援区分を基準に実施する。

選択肢4が正解です。

第23回 問題38 

次のうち、アンソニー(Anthony, W.)らの提唱した精神科リハビリテーションの基本原則に関する記述として、適切なものを1つ選びなさい。
1 様々な技法を駆使するよりも、特定の技法を適用する。
2 障害のレベルに応じて、本人の参加の可否を判断する。
3 生活能力の向上よりも、症状の軽減を優先する。
4 熟慮した上で依存を増やすことは、結果的には本人の自立につながる。
5 本人の技能開発の積み重ねが、回復の十分条件となる。

選択肢4が正解です。適度な依存は自立を高めることにつながります。

第17回 問題40

精神科医療機関におけるリハビリテーションに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 発病後間もない時期の患者に対しては、リハビリテーションの実施計画を作成することよりも障害年金の取得を優先させる。
2 入院後間もない時期の患者に対しては、リハビリテーションの開始について、本人の希望よりも客観的な必要性を優先させる。
3 急性症状消退後間もない患者に対しては、時間を限定した個人プログラムよりも多人数が参加する決められたプログラムに参加することを優先させる。
4 精神療養病棟に入院中の患者に対しては、就労移行のためのプログラムよりも日常生活の質の改善へ向けたプログラムを優先させる。
5 施設症(institutionalism)の状態の患者に対しては、リハビリテーションよりも向精神薬による薬物療法を優先させる。

1 発病後間もない時期の患者に対しては、リハビリテーションの実施計画を作成することよりも障害年金の取得を優先させる。
間違いです。障害年金の申請は初診日から1年6か月経たないとできません。

2 入院後間もない時期の患者に対しては、リハビリテーションの開始について、本人の希望よりも客観的な必要性を優先させる。
間違いです。 本人の希望よりも客観的な必要性を優先させてはいけません。

3 急性症状消退後間もない患者に対しては、時間を限定した個人プログラムよりも多人数が参加する決められたプログラムに参加することを優先させる。
間違いです。時間を限定した個人プログラムの方がよいでしょう。

4 精神療養病棟に入院中の患者に対しては、就労移行のためのプログラムよりも日常生活の質の改善へ向けたプログラムを優先させる。
これが正解です。

5 施設症(institutionalism)の状態の患者に対しては、リハビリテーションよりも向精神薬による薬物療法を優先させる。
間違いです。施設症は、入院期間の長期化によって生活能力が低下し無関心や無気力などに陥り退院して社会に戻る意欲をなくした状態です。
このような症状は向精神病薬ではよくなりません。

第22回 問題40 

次の記述のうち、社会リハビリテーションにおけるアセスメントとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 実施した宿泊体験の妥当性を検討する。
2 一人暮らしに必要なサポート体制を編成する。
3 利用できる文化施設を増やす。
4 買物支援の満足度を確認する。
5 活用できる移動手段を把握する。

選択肢5が正解です。

第22回 問題46 

次のうち、精神科リハビリテーションにおける地域ネットワーク形成の目的として、適切なものを2つ選びなさい。
1 地域にある関係機関の指揮系統を明確にすること
2 新たなニーズに対応するための社会資源を創出すること
3 各機関による利用者への援助内容を同じにすること
4 再発を防止するために、構成員が自由に利用者の治療内容を共有すること
5 精神障害当事者がサービス提供者となる道筋をつくること

選択肢2と5が正解です。

第21回 問題40 

次の記述のうち、精神科リハビリテーションにおけるチームアプローチで各構成員に求められるものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 それぞれの視点でモニタリングを行い、その結果を共有する。
2 意見が対立した場合は、外部の専門家に決定を委ねる。
3 インフォーマルな関係形成を控える。
4 緊急事態が起きたときも、意見の一致を優先する。
5 それぞれがチームの目標を設定し、職種の専門性を発揮する。

選択肢1が正解です。

第21回 問題41 

次の記述のうち、1994年にWHO、ILO、UNESCOにより示された合同政策方針における「地域に根差したリハビリテーション(CBR)」の考え方として、正しいものを1つ選びなさい。
1 ストレス-脆弱性-対処モデルを基盤とする。
2 合理的配慮が初めて定義された。
3 公的サービスを主軸に置く。
4 総合的な地域開発の戦略の一つである。
5 病気の再発防止を目的とする。

選択肢4が正解です。

次の記事

次は、リカバリーという概念について。

【リカバリー】結果ではなく過程を重視
リカバリーとはリカバリーを日本語に訳すと「回復」「復旧」になると思いますが、精神保健領域では以下のように捉えられています。WA.アンソニー(Anthony, W.)・疾患や障害を通して、その個人の態度、価値観、感情、...

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