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【社会調査】基幹統計の患者調査(厚生労働省)

患者調査 by 厚生労働省 【新カリ】精神医学と精神医療
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社会調査

社会調査は、量的調査質的調査に分けられます。

量的調査とは、アンケート等の質問紙を用いて量的データを取り、統計的処理を行う「統計調査」です。

質的調査は、個人に対するインタビューや面接法、観察法などを用いる「事例調査」です。

量的調査と質的調査を組み合わせる方法をミックス法といいます。

カリスマくん
カリスマくん

ミックス法とかミックスメソッドとか混合研究法とか、いろいろ呼び方はあるけど、実は量的調査と質的調査を混ぜて実施するのは容易なことではないんだ。

量的調査(統計調査)

量的調査には行政調査、市場調査、世論調査などがありますが、ここでは行政調査(基幹統計調査と一般統計調査)を見ていきます。

基幹統計調査

国内の状況を把握するための重要な基幹データをとるために、基幹統計調査が行われています。

総務省HPを見ると、実に多くの基幹統計が実施されていることがわかるでしょう。

特に以下の2種類の基幹統計調査は、全数調査悉皆調査)で5年毎に実施されている重要な調査です。

・国勢調査
・経済センサス
カリスマくん
カリスマくん

センサスというのは公的機関によって行われる大規模な全数調査のことだよ。基幹統計の中でも全数調査をしているのは、国勢調査と経済センサスのみ。つまり国勢調査は全世帯、経済センサスは全企業に対して実施されるんだ。

国家試験に頻出の、総務省と厚生労働省管轄の基幹統計を挙げておきます。

〈総務省管轄の基幹統計〉
国勢統計
・住宅・土地統計
労働力統計
・小売物価統計
・家計統計
・個人企業経済統計
・科学技術研究統計
・地方公務員給与実態統計
・就業構造基本統計
・全国家計構造統計
・社会生活基本統計
・サービス産業動態統計
・経済構造統計  
・産業連関表  
・人口推計
〈厚生労働省管轄の基幹統計〉
人口動態統計
・毎月勤労統計
・薬事工業生産動態統計
・医療施設統計
患者統計
・賃金構造基本統計
国民生活基礎統計
・生命表 
社会保障費用統計

一般統計調査

一般統計調査には、国民健康栄養調査や伝染病統計など、様々な統計があります。基幹統計調査は、公的統計の中核となる基幹統計を作成するための特に重要な統計調査なので、調査対象者には報告義務が課せられますが、一般統計調査には報告義務はありません。

患者調査

ここでは基幹統計調査の中から、厚生労働省が実施している患者調査を取り上げます。

目的

患者調査は、医療施設(病院及び診療所)を利用する患者の傷病の状況等の実態を明らかにすることが目的です。

調査方法

患者調査は、統計法に基づく基幹統計として3年ごとに実施されています。

全国の医療施設を利用する患者を対象として、病院の入院は二次医療圏別、病院の外来及び診療所は都道府県別に層化無作為抽出した医療施設を利用した患者について、医療施設の管理者が回答します。

世界保健機関WHOの国際疾病分類ICDに基づいて定められた「疾病、傷害及び死因の統計分類」を適用して疾病を分類しています。

令和5年 患者調査

患者数の推移

入院患者数は、病院も診療所も減少傾向にあります。

患者数の推移(施設別)

入院患者数は「65歳以上」を除くいずれの年齢でも減少傾向になっています。

患者数の推移(年齢階級別)

入院患者数を傷病分類別にみると、「精神及び行動の障害」が最多、次いで「循環器系の疾患」となっています。外来患者数では「消化器系の疾患」が最多です。

精神及び行動の障害有する患者について、外来患者では「気分障害」が最多で、入院患者では「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が最多となっています。

カリスマくん
カリスマくん

つまり、入院患者は精神疾患によるものが最も多く、その内訳は統合失調症が最多ということ。外来患者は消化器系疾患によるものが最も多いけど、精神疾患の中では気分障害が最多ということだね。

受療率の推移

受療率を年齢階級別に見ると、65歳以上が最多となっています。

受療率の推移

受療率を傷病分類別にみると、「精神及び行動の障害」が最多、次いで「循環器系の疾患」となっています。

受療率を都道府県別に見ると、入院では、1位「高知」、2位「鹿児島」、3位「長崎」
外来では、1位「和歌山」、2位「香川」、3位「愛媛」となっています。

平均在院日数の推移

平均在院日数は減少傾向にありますが、65歳以上は最も在院日数が長くなっています。

平均在院日数(施設別)
平均在院日数(年齢階級別)

過去問

第22回 問題73

M精神保健福祉士は、X精神科病院相談室の責任者である。X精神科病院には職員の資質向上を目的とした研修企画委員会が設置されており、M精神保健福祉士も参加している。ある日の委員会で、X精神科病院受診者の特徴について理解を深める研修を企画するため、委員が分担して統計資料を調べ、次回の委員会で報告することになった。M精神保健福祉士は、3年に1回厚生労働省が調査を実施して集計結果を公表している資料と当該病院の外来受診者について比較する担当になった。次のうち、M精神保健福祉士が比較することになった厚生労働省の資料として、正しいものを1つ選びなさい。
1 「患者調査の概況」
2 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
3 「過労死等の労災補償状況」
4 「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」
5 「都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)」

選択肢1が正解です。患者調査は厚生労働省が3年に1回実施しています。

第19回 問題17

厚生労働省の患者調査に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 医療施設に入院している患者には面接による調査を行う。
2 患者を対象とする前向きコホート調査である。
3 統計法に基づく調査の一つである。
4 DSM-5に基づいて疾病分類を行っている。
5 国勢調査に合わせて実施される。

1 医療施設に入院している患者には面接による調査を行う。
誤りです。患者調査は医療施設の管理者が記入する方法で行われます。

2 患者を対象とする前向きコホート調査である。
誤りです。前向きコホート調査とは、ある時点から未来に向けてデータを収集する調査で、コホート調査は基本的に前向き調査になります。患者調査はコホート調査のように同一対象を追跡するものではありません。

3 統計法に基づく調査の一つである。
正しいです。統計法に基づく基幹統計調査です。

4 DSM-5に基づいて疾病分類を行っている。
誤りです。疾病は国際疾病分類ICDに基づいて分類しています。

5 国勢調査に合わせて実施される。
誤りです。国勢調査は総務省統計局により5年ごとに実施されます。患者調査は厚生労働省により3年ごとに実施されます。

第21回 問題38

次のうち、「平成26年患者調査」(厚生労働省)において、平成11年の同調査と比較して、その推計患者数が減少しているものとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神病床の入院患者
2 うつ病の入院患者
3 統合失調症の外来患者
4 アルコール依存症の外来患者
5 精神疾患の総患者

選択肢1が正解です。精神病床の入院患者は減少傾向にあります。それ以外の選択肢は増加傾向にあります。

第27回 問題10

次のうち、「令和2年患者調査」(厚生労働省)において、精神疾患を有する外来患者数の内訳で最も多い傷病分類として、正しいものを1つ選びなさい。
1 てんかん
2 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害
3 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
4 精神作用物質使用による精神及び行動の障害
5 気分[感情]障害(躁うつ病を含む)

選択肢5が正解です。外来患者では「気分障害」が最多で、入院患者では「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が最多です。

次の記事

次は、社会調査の量的調査について。

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