脳
人間の脳は以下の4部分に分けられます。

大脳辺縁系:本能
脳幹:生命維持
小脳:運動
上の図にあるように、大脳辺縁系は感情や記憶などの本能を司り、その周りを大脳新皮質という理性が取り囲んでいます。つまり大脳辺縁系という本能を大脳新皮質という理性で制御しているイメージです。
理性を司る大脳新皮質は、以下の4領域に分かれています。
・側頭葉
・頭頂葉
・後頭葉

前頭葉
人間は前頭葉が発達しています。
それは人間の思考や意思、想像力、人間が人間らしく生きるための機能を司っているからです。
前頭葉にはブローカー野(言語野)という部分があって、ここが障害されると失語症(運動性失語)になります。運動性失語というのは言葉は理解できるのに流暢にしゃべれないタイプの失語症です。
側頭葉
側頭葉は耳周辺の部分です。
側頭葉は言語理解、記憶や物事の判断、感情の抑制などを司ります。

人前でしゃべったり怒りを感じたりすると側頭葉(耳の上あたり)が熱くなるよね?
これは側頭葉が言語理解や記憶や物事の判断、感情の抑制などを担っているからだと思うんだ。
側頭葉のウェルニッケ野(言語野)が障害されると失語症(感覚性失語)になります。
ブローカー野の障害による失語症(運動性失語)と違って、発話は流暢なのですが言語理解面に障害がでます。
失語症 | 障害部位 | 症状 |
---|---|---|
運動性失語 | 前頭葉のブローカー野 | 言語理解はあるが流暢にしゃべれない |
感覚性失語 | 側頭葉のウェルニッケ野 | 言語理解に難あり |
後頭葉
後頭葉には視覚野があり視覚を司ります。

後頭葉(後頭部)と目はつながっているので、後頭部と首の間を揉むと、目の疲れが取れるよ。一度やってみて!オススメだよ!
頭頂葉
頭頂葉は体が感じた刺激が届く体性感覚野があります。
空間の知覚機能、接触、温度、痛みなどの感覚を司ります。

頭頂を叩かれたり打ったりしたらクラクラするのは空間の知覚機能を司っているからだと思うよ。
脳幹
脳幹は、間脳→中脳→橋→延髄→脊髄とつながっていきます。
つまり脳と脊髄がどちらも中枢神経としてつながっているのですが、それの橋渡しをしているのが「橋」、さらに脊髄を延長した部分が「延髄」です。
中脳には視覚や聴覚、眼球運動などの中枢があります。中脳に含まれる黒質(こくしつ)という部分が変性した状態がパーキンソン病です。
延髄は、呼吸、嘔吐、嚥下、消化、心拍数の調節など、呼吸中枢や循環器中枢といった生命維持に重要な中枢神経が存在しています。
間脳は視床と視床下部があります。視床は脳のほぼ中央にあり、種々の感覚伝導路の中継地として受け取った情報を分析統合し大脳皮質へ伝えます。視床下部は体温調節や食欲、睡眠、情動、生殖などを司ります。
小脳
小脳は平衡感覚を司ります。
脊髄
脊椎(せきつい)と脊髄(せきずい)の違いわかりますか?
脊椎というのは背骨(せぼね)のことです。
脊椎は以下のように頸椎、胸椎、腰椎で構成されていて、それぞれの骨の数は以下のとおりです。

・胸椎12個
・腰椎5個
この脊椎(背骨)の中には太い神経が通っていて、この神経を脊髄(せきずい)といいます。

背骨を骨折すると半身不随になったりするのは、この重要な神経である脊髄が損傷するからだよ。
神経系
中枢神経
下の図にあるとおり、脳と脊髄は「中枢神経」と呼ばれます。

一方で中枢神経に対して「末梢神経」があり、運動神経や自律神経が該当します。
末梢神経(運動神経と自律神経)
人間は手や足を自分で動かすことができますが、心臓や血流などは意識して動かせるものではありません。
このように手や足のような自分の意志で動かせるものは「運動神経」で動かし、心臓や血流など無意識に動いているものは「自律神経」で動かしています。

発汗なども自分ではコントロールできないので「自律神経」が調整しているね。
この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があって、常にどちらかが優位になってバランスを取っています。
例えば緊張しているときは交感神経が優位になって心臓がバクバクしたり、発汗を促したり、血管を収縮させて血流を滞らせたりします。
つまり緊張して生命の危機を感じているときはその危機を乗り越えるために心臓の鼓動を早くして瞬時に動けるようにするわけです。
一方でリラックスしているときは副交感神経が優位になり、血管を拡張させて血流を促します。
このような緊張と緩和を交感神経と副交感神経という「自律神経」によって調整しているのです。
ホメオスタシス
人間の体には、健康な状態を基準として不健康な状態になると自然に健康な状態に戻る仕組みがあります。
この働きをホメオスタシスといいます。
例えば、体にウイルスが入ってきたら体が発熱して免疫力を上げ、ウイルスを殺そうとします。
ケガをしたら自然に修復されますし、食べすぎて血糖値が上がると膵臓でインスリンというホルモンが分泌され血糖値を下げてくれます。
生命の危機を感じると交感神経が優位になり、アドレナリンというホルモンが分泌されます。
このように、ホメオスタシスという人間の恒常性を保つ働きは、「神経系」「免疫系」「ホルモン系」という3つの系の相互作用によって保たれています。
脳などの中枢神経がホルモン系に働きかけ、〇〇ホルモンを分泌したり、免疫を上げたり等ですね。


人間の体は本当によくできていて、病気を治すのは体のホメオスタシスの働きなんだね。
心臓
心臓は右心房、右心室、左心房、左心室と4つの部位に分かれています。
下の図を自分で書けるように練習すればそれぞれの働きや名称が自然に覚えられます。

大静脈から戻ってきた血液は右心房に入り、右心房から三尖弁を通って右心室に入ります。右心室から肺動脈を通って肺で酸素を取り入れ、肺静脈を通って左心房に入ります。つまり、肺動脈から肺へ向かう血液は静脈血です。

動脈は心臓から出る血管、静脈は心臓へ戻る血管なので、肺へ向かう血管は肺動脈というけど、そこを通っている血液は静脈血(酸素の不足している血)だよ。
肺で酸素を取り入れた血液は、左心房から僧帽弁を通って左心室に入り、そこから大動脈を通って全身に運ばれます。

僧帽弁(左)と三尖弁(右)を間違えないように。三尖弁は三枚の弁尖で構成されていて、僧帽弁は二枚の弁尖で構成されているので別名二尖弁とも呼ばれるよ。覚え方は、「三」は「みぎ」。「みぎ」の「み」=「三」ということ。

消化器
口から食べたものは以下のような順番で各消化器を通って、最終的に肛門から便として排泄されます。

胃から十二指腸にいって、次に小腸に行きます。
小腸は人間の体の中心であり重心なので、とても重要な部分です。
小腸は空腸と回腸で構成され、次に大腸につながっていきます。

小腸は「空腸」と「回腸」でできていることを覚えるには、小腸は「空回り」と覚えてね。ただし小腸は一般的に十二指腸も含まれることが多いよ。
大腸は結腸から直腸へとつながって肛門に行きます。
図を見ればわかりますが、結腸はぐるっと一周していて、上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸とつながっていきますので、覚えやすいですね。
さらに直腸は肛門に直結するということで覚えやすいので、大腸の構成は忘れにくいと思います。

正確には図にあるように大腸には盲腸も含まれるよ。
あの盲腸炎の盲腸。
盲腸は手術で切除したりするけど、実は腸内細菌がたくさん凄んでいる重要な器官であることがわかってきているので、切除したらダメだよ。
過去問
第24回 問題2
- 次の記述のうち、脳の各部位の働きとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 大脳皮質は情動をつかさどる。
2 延髄は呼吸をつかさどる。
3 小脳は体温調節をつかさどる。
4 視床は食欲をつかさどる。
5 視床下部は平衡感覚をつかさどる。
1 大脳皮質は情動をつかさどる。
誤りです。情動をつかさどるのは大脳辺縁系です。
2 延髄は呼吸をつかさどる。
正しいです。
3 小脳は体温調節をつかさどる。
誤りです。体温調節をつかさどるのは視床下部です。
4 視床は食欲をつかさどる。
誤りです。食欲をつかさどるのは視床下部です。
5 視床下部は平衡感覚をつかさどる。
誤りです。平衡感覚をつかさどるのは小脳です。
第19回 問題2
脳や神経に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。1 小脳には橋と延髄が含まれる。2 脊髄は末梢神経系に含まれる。3 視床下部は平衡機能をつかさどる。4 視床は自律神経系の統合中枢である。5 末梢神経系には体性神経系と自律神経系がある。
1 小脳には橋と延髄が含まれる。
誤りです。橋と延髄が含まれるのは脳幹です。
2 脊髄は末梢神経系に含まれる。
誤りです。脊髄は中枢神経系に含まれます。
3 視床下部は平衡機能をつかさどる。
平衡機能をつかさどるのは小脳です。
4 視床は自律神経系の統合中枢である。
誤りです。自律神経系の統合中枢は視床下部です。
5 末梢神経系には体性神経系と自律神経系がある。
正しいです。
第23回 問題1
次のうち、摂食、体温、情動の調節に関わっている中枢神経の部位として、正しいものを1つ選びなさい。1 橋2 中脳3 小脳4 視床5 視床下部
選択肢5の視床下部が正解です。脳幹は、間脳(視床、視床下部)→中脳→橋→延髄という構成です。
次の記事
ここまでで、精神医療や精神保健福祉関係の疾患や制度について、全て学んできました。
次からは、ソーシャルワークに入っていきます。山は越えました。
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