<YouTube>

専門科目動画25本で知識を定着させていきましょう!

カリスマチャンネル

【精神通院医療】精神障害者に医療費を支給する

精神通院医療精神医療&精神保健
スポンサーリンク

障害福祉サービスには、精神障害者の通院医療費を支給する自立支援医療(精神通院医療)というサービスがあります。

見ていきましょう。

スポンサーリンク

自立支援医療とは

障害者総合支援法には、以下3種類の自立支援医療が規定されており、それぞれの対象に通院医療費を支給する制度です。

自立支援医療対象
更生医療身体障害者
育成医療障害児
精神通院医療精神障害者

歴史的経緯

1965年「精神衛生法改正」で精神障害者の医療費の公費負担制度が設けられました。

これが現在の自立支援医療(精神通院医療)です。

この制度は、1964年に起こったライシャワー事件などを受けて精神障害者の支援を手厚くする一環でした。

その後、1995年に精神保健福祉法で規定され、現在は障害者総合支援法」で規定されています。

精神通院医療の実施主体

精神通院医療の実施主体は、都道府県または政令指定都市です。

ただし、申請窓口は市町村です。

精神通院医療の関連事務は、かつては保健所が行っていましたが、2002年から市町村が担っています。

障害福祉サービスは基本的に「市町村」が支給決定しますが、精神通院医療だけは「都道府県または政令指定都市」が支給決定を行います。

都道府県や政令指定都市に設置義務がある「精神保健福祉センター」が支給決定の実務を担います。

精神通院医療の利用条件

・自治体が指定した「指定医療機関」や薬局の利用に限る
通院、デイケア、訪問看護が対象(入院は対象外)
・通常3割負担の医療費が1割負担まで軽減(世帯所得や治療内容に応じて自己負担に月額上限あり)

対象となる精神疾患

F0.病状性を含む器質性精神障害(F0)
F1.精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1)
F2.統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)
F3.気分障害(F3)
G40.てんかん(G40)
F4.神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害(F4)
F5.生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(F5)
F6.成人の人格及び行動の障害(F6)
F7.精神遅滞(F7)
F8.心理的発達の障害(F8)
F9.小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F9)
※F0~F3、G40は高額治療継続者(いわゆる「重度かつ継続」)の対象疾患

これらはICD-10の分類でしたね。

統合失調症など、高額な治療を長期間続けなければならない人は「重度かつ継続」という区分が適用され、別枠で自己負担額の上限が設定されます。

最後に

障害福祉サービスの中で、都道府県が支給決定をしているサービスは「精神通院医療」だけ、これ以外は全て市町村が支給決定を行います。

これは、精神障害者が虐げられてきた歴史の名残です。

詳しくは、精神障害福祉の歴史を参照してください。

【精神保健福祉法】精神障害福祉の歴史と今
精神保健福祉法の歴史精神障害者の福祉は、1950年「精神衛生法」→1987年「精神保健法」→1995年「精神保健福祉法」と変遷し、現在、精神障害福祉を担っているのがこの「精神保健福祉法」です。厚生労働省「みんなのメンタルヘ...

忘れないように。

過去問

第19回 問題64

自立支援医療(精神通院医療)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 「精神保健福祉法」に規定された制度である。
2 支給認定の申請窓口は、精神保健福祉センターである。
3 支給認定の要否を判定するのは、障害支援区分認定審査会である。
4 精神科訪問看護は、支給範囲の対象外である。
5 所得などに応じて、1か月当たりの利用者負担上限額が設定されている。

1 「精神保健福祉法」に規定された制度である。
間違いです。2004年までは精神保健福祉法に規定されていましたが、現在は障害者総合支援法で規定されています。

2 支給認定の申請窓口は、精神保健福祉センターである。
間違いです。申請窓口は市町村です。

3 支給認定の要否を判定するのは、障害支援区分認定審査会である。
間違いです。支給決定は精神保健福祉センター(都道府県、指定都市)です。

4 精神科訪問看護は、支給範囲の対象外である。
間違いです。精神科訪問看護、外来、外来での投薬、精神科デイケア等が支給対象です。

5 所得などに応じて、1か月当たりの利用者負担上限額が設定されている。
これが正解です。

第22回 問題77

次のうち、市町村の精神保健福祉業務として、正しいものを1つ選びなさい。
1 自立支援医療(精神通院医療)の申請受理
2 精神障害者保健福祉手帳の等級判定
3 発達障害者支援センターの運営
4 地方精神保健福祉審議会の設置
5 精神科救急医療体制の整備。

1 自立支援医療(精神通院医療)の申請受理
これが正解です。窓口は市町村で、支給決定は都道府県(精神保健福祉センター)です。

2 精神障害者保健福祉手帳の等級判定
間違いです。これは都道府県(精神保健福祉センター)の役割です。

3 発達障害者支援センターの運営
間違いです。発達障害者支援センターは、都道府県や指定都市、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、NPO法人等が運営しています。

4 地方精神保健福祉審議会の設置
間違いです。地方精神保健福祉審議会は、都道府県(指定都市)が条例に基づき設置します。

5 精神科救急医療体制の整備。
間違いです。これは都道府県(指定都市)の役割です。

第21回 問題73

次のうち、自立支援医療の根拠となる法律として、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
1 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
2 「障害者総合支援法」
3 健康保険法
4 地域保健法
5 医療法

選択肢2が正解です。

次の記事

次は、同じく障害者総合支援法に規定される地域移行支援と地域定着支援について。

精神障害者の地域移行
地域移行とは障害者の「地域移行」とは、施設や病院から出て、自ら選んだ地域の住まいで自分らしい暮らしを実現することです。施設に入所している障害者や精神科病院に入院している精神障害者などに対して、施設や病院から出て自分の選んだ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました