精神医療審査会(精神保健福祉法 第12条)
精神医療審査会は、精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的な機関として審査を行うために設置された機関です。
業務内容
精神医療審査会は、医療保護入院の必要性の審査、入院者や家族等からの退院請求や処遇改善請求の妥当性の審査を行い、精神保健福祉センターがその事務を担います。
設置義務
都道府県に設置義務があります。
精神障害者の措置入院などの権限は都道府県にありますから、その入院に関する様々な審査を行う精神医療審査会は都道府県が設置します。
委員
・精神科医療の学識経験者2名以上(精神保健指定医に限る)
・法律に関する学識経験者1名以上(弁護士、検事など)
・精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者1名以上(精神保健福祉士、保健師など)
委員の任期は2年(委員の任期を2年を超え3年以下の期間で都道府県が条例で定める場合は当該条例で定める期間)です。
過去問
第20回 問題145
精神医療審査会に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 市町村に設置が義務づけられている。
2 委員に精神障害当事者を含むことが義務づけられている。
3 自立支援医療( 精神通院医療 )の支給認定を行う。
4 精神障害者保健福祉手帳の交付決定を行う。
5 処遇改善請求に関する審査を行う。
1 市町村に設置が義務づけられている。
間違いです。設置義務は市町村ではなく都道府県です。
2 委員に精神障害当事者を含むことが義務づけられている。
間違いです。当事者の参加は義務付けられていません。
3 自立支援医療( 精神通院医療 )の支給認定を行う。
間違いです。自立支援医療(精神通院医療)の支給認定を行うのは都道府県です。
4 精神障害者保健福祉手帳の交付決定を行う。
間違いです。精神保健福祉手帳の交付決定は精神保健福祉センター(都道府県)が行います。
5 処遇改善請求に関する審査を行う。
これが正解です。
第22回 問題61
精神医療審査会に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 退院請求は、口頭では認められず、書面による請求が不可欠である。
2 合議体の委員数は、自治体が決定する。
3 医療保護入院者の入院届の審査を行う。
4 処遇改善請求の審査は、対象外である。
5 精神科病院の所在する市町村に設置される。
1 退院請求は、口頭では認められず、書面による請求が不可欠である。
間違いです。退院請求は書面が原則ですが、口頭でも認められます。
2 合議体の委員数は、自治体が決定する。
間違いです。精神医療審査会は5名の合議体で、精神科医療の学識経験者2名以上(精神保健指定医に限る)、法律に関する学識経験者1名以上(弁護士、検事など)、精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者1名以上(精神保健福祉士、保健師など)で構成されると決められています。
3 医療保護入院者の入院届の審査を行う。
これが正解です。
4 処遇改善請求の審査は、対象外である。
間違いです。処遇改善請求の審査も精神医療審査会の仕事です。
5 精神科病院の所在する市町村に設置される。
間違いです。都道府県に設置されます。
第16回 問題61
精神医療審査会に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 決定に不服がある場合、上級審査機関に審査請求することができる。
2 精神医療審査会運営マニュアルによると、取り扱った審査の資料及び議事内容の記録については、少なくとも5年間は保存するものとされている。
3 退院等の請求を受けて、精神科病院の管理者に対し、退院や処遇改善を命じることができる。
4 退院等の請求では、やむを得ない事情がある場合を除き、請求受理からおおむね1か月以内に、審査結果を通知するものとされている。
5 退院等の請求では、同一内容の請求が頻回にある場合、すべて意見聴取を行うこととされている。
1 決定に不服がある場合、上級審査機関に審査請求することができる。
間違いです。上級審査機関は存在しません。代わりに「精神医療審査会の決定に不服のある患者からの再度の請求への対応など機能強化および体制の整備のあり方を検討し、必要な措置を講ずること」とされています。
2 精神医療審査会運営マニュアルによると、取り扱った審査の資料及び議事内容の記録については、少なくとも5年間は保存するものとされている。
これが正解です。
3 退院等の請求を受けて、精神科病院の管理者に対し、退院や処遇改善を命じることができる。
間違いです。精神科病院管理者ではなく都道府県知事です。
4 退院等の請求では、やむを得ない事情がある場合を除き、請求受理からおおむね1か月以内に、審査結果を通知するものとされている。
これは精神医療審査会ではなく都道府県知事が行います。請求受理からおおむね1か月以内に、やむを得ない場合には3か月以内に審査結果を通知します。
5 退院等の請求では、同一内容の請求が頻回にある場合、すべて意見聴取を行うこととされている。
運営マニュアルには「同一人から同一趣旨の請求が多数ある場合には、審査の円滑な運営ができるよう、事前に十分整理しておくものとする。」とあるので、すべて意見聴取を行うこととはされていません。
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次は、退院後生活環境相談員について。
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