精神障害福祉の変遷
精神障害者は1993年の障害者基本法で法的に規定され、2005年の障害者自立支援法でやっと3障害が一元化されました。
精神障害者の福祉は、1950年「精神衛生法」→1987年「精神保健法」→1995年「精神保健福祉法」と流れていきます。
1950年「精神衛生法」
精神病者監護法と精神病院法が廃止になり私宅監護が禁止に。
精神衛生法の制定によって、精神障害者の「措置入院」と保護義務者の同意による「同意入院」の制度ができます。
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措置入院は強制的な入院、同意入院は本人の同意ではなく家族の同意だよ。
1964年 ライシャワー事件
アメリカ駐日大使のライシャワー氏が統合失調症の少年に刺されるという事件が起こりました。この事件を機に精神障害者の隔離政策などが強化されていきます。
1965年 精神衛生法改正
ライシャワー事件を受けて、精神障害者の通院医療費公費負担や緊急措置入院制度が創設され、精神障害者の隔離政策が進んでいきます。
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障害者総合支援法で規定される自立支援医療の「精神通院医療」は、精神障害者の通院医療費の公費負担制度だよ。障害福祉サービスの支給決定は市町村が行うけど、この「精神通院医療」だけは未だに都道府県が行っているのは、ライシャワー事件などの過去の経緯の名残だと思うよ。
1984年 宇都宮病院事件
宇都宮病院で入院中の患者が看護師の暴行を受け死亡するという事件が起こりました。ライシャワー事件以降、精神障害者への虐待が全国の病院などで増えたと思われます。
1987年「精神衛生法」→「精神保健法」
宇都宮病院事件を受けて、精神衛生法が改正されて精神保健法となり、精神障害者の社会復帰、「任意入院」制度と「応急入院」制度が創設されました。
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宇都宮事件で精神障害者への虐待が全国的に問題になり、やっと「任意入院」制度ができたよ。これは精神障害者本人の意思で入院できる制度。それまでは「措置入院」と家族の同意による「同意入院」しかなかったから、本人の意思では入院できなかったんだ。驚くべきことだね。
さらに「同意入院」という名称が「医療保護入院」と改称されています。
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同意入院と聞くと、本人の同意と勘違いしてしまうからね。
1993年 障害者基本法
障害者基本法で、初めて精神障害者が法的に位置づけられました。
1995年「精神保健法」→「精神保健福祉法」
精神保健法が精神保健福祉法となり、自立と社会経済活動への参加、精神保健福祉手帳制度が創設されました。
2005年 障害者自立支援法
障害者自立支援法の制定によって、身体・知的・精神の3障害が一元化されました。
精神障害者の入院5形態
現行の精神保健福祉法では入院5形態はどのように規定されているか見てみましょう。
任意入院
第二十条 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
第二十一条 精神障害者が自ら入院する場合においては、精神科病院の管理者は、その入院に際し、当該精神障害者に対して第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせ、当該精神障害者から自ら入院する旨を記載した書面を受けなければならない。
2 精神科病院の管理者は、自ら入院した精神障害者(任意入院者)から退院の申出があつた場合においては、その者を退院させなければならない。
3 前項に規定する場合において、精神科病院の管理者は、指定医による診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、同項の規定にかかわらず、七十二時間を限り、その者を退院させないことができる。
4 前項に規定する場合において、精神科病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る。)の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて指定医以外の医師(特定医師)に任意入院者の診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、当該任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときは、前二項の規定にかかわらず、十二時間を限り、その者を退院させないことができる。
精神障害者の入院5形態のなかでも、本人の同意に基づく任意入院になるよう努めなければならないと規定されています。本人の申出で入院するわけですから、本人から退院の申出があった場合は、退院させなければなりません。ただし、精神保健指定医の診察で72時間以内(特定医師の診察で12時間以内)の退院制限が可能です。
医療保護入院
第三十三条 精神科病院の管理者は、次に掲げる者について、その家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくても、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、その者を入院させることができる。
一 指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの
二 第三十四条第一項の規定により移送された者
2 精神科病院の管理者は、前項第一号に掲げる者について、その家族等がない場合又はその家族等の全員がその意思を表示することができず、若しくは同項の規定による同意若しくは不同意の意思表示を行わない場合において、その者の居住地を管轄する市町村長(特別区の長を含む)の同意があるときは、本人の同意がなくても、六月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の期間を定め、その者を入院させることができる。第三十四条第二項の規定により移送された者について、その者の居住地を管轄する市町村長の同意があるときも、同様とする。
3 前二項に規定する場合において、精神科病院(厚生労働省令で定める基準に適合すると都道府県知事が認めるものに限る。)の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、精神障害者であり、かつ、医療及び保護のため入院の必要がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、前二項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、十二時間を限り、その者を入院させることができる。
任意入院が難しい場合は、家族等(精神障害者の配偶者、親権を行う者、扶養義務者及び後見人又は保佐人)または市区町村長の同意があれば、精神保健指定医の診察で原則6か月以内で医療保護入院させることができます(特定医師の場合は12時間以内)。
応急入院
第三十三条の六 厚生労働大臣の定める基準に適合するものとして都道府県知事が指定する精神科病院の管理者は、医療及び保護の依頼があつた者について、急速を要し、その家族等の同意を得ることができない場合において、その者が、次に該当する者であるときは、本人の同意がなくても、七十二時間を限り、その者を入院させることができる。
一 指定医の診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたもの
二 第三十四条第三項の規定により移送された者
2 前項に規定する場合において、同項に規定する精神科病院の管理者は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、指定医に代えて特定医師に同項の医療及び保護の依頼があつた者の診察を行わせることができる。この場合において、診察の結果、その者が、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、同項の規定にかかわらず、本人の同意がなくても、十二時間を限り、その者を入院させることができる。
本人の同意が得られず、家族等の同意も得られない場合に、精神保健指定医の診察で72時間以内(特定医師は12時間以内)の応急入院をさせることができます。ただし知事指定の病院に限ります。
医療保護入院と応急入院の移送
第三十四条 都道府県知事は、その指定する指定医による診察の結果、精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたものにつき、その家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第一項の規定による入院をさせるため第三十三条の六第一項に規定する精神科病院に移送することができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する精神障害者の家族等がない場合又はその家族等の全員がその意思を表示することができず、若しくは同項の規定による同意若しくは不同意の意思表示を行わない場合において、その者の居住地を管轄する市町村長の同意があるときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条第二項の規定による入院をさせるため第三十三条の六第一項に規定する精神科病院に移送することができる。
3 都道府県知事は、急速を要し、その者の家族等の同意を得ることができない場合において、その指定する指定医の診察の結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であつて当該精神障害のために第二十条の規定による入院が行われる状態にないと判定されたときは、本人の同意がなくてもその者を第三十三条の六第一項の規定による入院をさせるため同項に規定する精神科病院に移送することができる。
医療保護入院と応急入院については、移送制度が設けられています。
措置入院
第二十九条 都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
本人に自傷他害のおそれがある場合は、2名以上の精神保健指定医の診察で、国等の設置した精神科病院又は指定病院に措置入院させることができます。
緊急措置入院
第二十九条の二 都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者又はその疑いのある者について、急速を要し、第二十七条、第二十八条及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第一項に規定する精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による入院措置を採つたときは、速やかに、その者につき、前条第一項の規定による入院措置を採るかどうかを決定しなければならない。
3 第一項の規定による入院の期間は、七十二時間を超えることができない。
措置入院の条件である、2名以上の精神保健指定医の診察が難しい場合は、72時間を超えない範囲で精神保健指定医1名の診察により、緊急措置入院させることができます。
まとめ
入院形態 | 本人の同意 | 家族等の同意 | 精神保健指定医の診察 | その他の条件 | 備考 | 入院権限 |
---|---|---|---|---|---|---|
任意入院 | 有 | 無 | 無 | 書面による本人意思の確認 | 本人の申し出で退院可能だが精神保健指定医の判断で72時間の退院制限可能 | 精神科病院管理者 |
医療保護入院 | 不可 | 有 | 1人 | 入退院後10日以内に知事に届け出 | ||
応急入院 | 不可 | 無 | 1人 | 保護の依頼があるが家族等の同意が得られない | 72時間以内の入院、知事に届け出、知事指定の病院のみ | |
措置入院 | 不可 | 無 | 2人以上 | 自傷・他害のおそれがある | 国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る | 都道府県知事 |
緊急措置入院 | 不可 | 無 | 1人 | 自傷・他害のおそれが著しく緊急を要する | 72時間以内、指定医が1人しか確保できない場合の暫定措置 |
入院条件
任意入院は本人の同意による入院なので精神保健指定医の診察は不要です。
医療保護入院は家族等の同意による入院なので、精神保健指定医1人以上の診察が必要です。
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医療保護入院は、もともと同意入院と呼ばれていたんだったね。家族等による同意という意味で。「家族等」とは配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人、該当者がいない場合は市町村長もOKなんだ。
応急入院は、家族等からの同意が得られない場合に応急的に入院させる形態で、精神保健指定医1人以上の診察が必要です。
措置入院は、自傷・他害のおそれがある場合の強制的な入院で、精神保健指定医2人以上の診察が必要です。
緊急措置入院は、自傷・他害のおそれがあるが精神保健指定医2人の確保が難しい場合に、緊急的に精神保健指定医1人の診察で入院させる暫定措置です。
このように、応急入院と緊急措置入院はどちらも緊急時の一次的な対応ですので72時間以内の入院で、応急入院は知事指定の病院に限ります。
措置入院は、国立・都道府県立精神科病院又は指定病院に限ります。
入院権限
任意入院、医療保護入院、応急入院は入院する精神科病院管理者に権限がありますが、措置入院、緊急措置入院は都道府県知事に権限があります。
なので、措置入院と緊急措置入院は知事への届出は不要ですが、医療保護入院では入院及び退院後10日以内に都道府県知事へ届出、応急入院では入院後ただちに都道府県知事へ届け出なければなりません。
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措置入院は知事の権限だから、「そちじ」で覚えてね。
入院期間
任意入院は本人の意思で入院していますので、本人の申出で退院できます。ただし、精神保健指定医が認めれば72時間以内の退院制限が可能(特定医師の場合は12時間制限)です。
医療保護入院は、精神保健指定医の診察の場合は期限はありませんでしたが、2024年度から入院期間の上限が設けられ、6ヶ月を経過するまでは3ヶ月以内、6ヶ月を経過した後は6ヶ月以内と定められました(精神保健指定医の診察で継続が必要と判断され、家族等の同意があれば更新可)。
応急入院は、応急的な入院のため精神保健指定医の診察の場合は72時間以内で、特定医師の診察では12時間以内となっています。
緊急措置入院においても72時間以内となっています。
定期病状報告
応急入院と緊急措置入院は、72時間以内と短期なので定期病状報告は必要ありませんが、措置入院は、定期病状報告が必要で、都道府県知事に対して報告します。医療保護入院でも定期病状報告が必要でしたが、入院期間の上限が設けられたことで廃止され、更新届に変わりました。
任意入院では、都道府県知事は精神科病院の管理者に定期病状報告を求めることができるとされています(精神保健福祉法第三十八条の二)。

医療観察法による鑑定入院
精神障害者の入院5形態のほかに、罪を犯した精神障害者の入院形態があります。
殺人などの重大犯罪者が心神喪失等で無罪になったり不起訴になったりすると、検察官が地方裁判所に申し立て、地方裁判所で入院又は通院が決められますが、その審判が降りるまでの間(原則2か月、最長3カ月)、「鑑定入院」として鑑定入院医療機関に入院します。

まとめ
精神障害者の入院形態について、まず本人の意思による「任意入院」、次に本人の同意が得られず家族等の同意による「医療保護入院」、そして本人も家族等からも同意が得られない場合の「応急入院」、さらに自傷・他害のおそれありの強制的な「措置入院」、この4形態が基礎です。
措置入院で2人の精神保健指定医が確保できない時に1人の診断で強制的に入院させる「緊急措置入院」を加えて5形態になります。
「応急入院」と「緊急措置入院」は緊急的な対応なので72時間以内という制限があります。
入院形態 | 本人の同意 | 家族等の同意 | 精神保健指定医の診察 | その他の条件 | 備考 | 入院権限 |
---|---|---|---|---|---|---|
任意入院 | 有 | 無 | 無 | 書面による本人意思の確認 | 本人の申し出で退院可能だが精神保健指定医の判断で72時間の退院制限可能 | 精神科病院管理者 |
医療保護入院 | 不可 | 有 | 1人 | 入退院後10日以内に知事に届け出 | ||
応急入院 | 不可 | 無 | 1人 | 保護の依頼があるが家族等の同意が得られない | 72時間以内の入院、知事に届け出、知事指定の病院のみ | |
措置入院 | 不可 | 無 | 2人以上 | 自傷・他害のおそれがある | 国立・都道府県立精神科病院または指定病院に限る | 都道府県知事 |
緊急措置入院 | 不可 | 無 | 1人 | 自傷・他害のおそれが著しく緊急を要する | 72時間以内、指定医が1人しか確保できない場合の暫定措置 |
過去問
第23回 問題9
次のうち、精神保健指定医の診察の結果、応急入院が妥当と考えられる患者として、適切なものを 1 つ選びなさい。
1 自ら治療を求めて来院した不安障害の患者
2 妻が付き添って来院した振戦せん妄の患者
3 身元の全く分からない不穏で独語のある患者
4 家族に対して易怒的で、長男に連れてこられた前頭側頭型認知症の患者
5 幻覚・妄想が強く自傷他害のおそれのある統合失調症の患者
1 自ら治療を求めて来院した不安障害の患者
これは自らですので「任意入院」です。
2 妻が付き添って来院した振戦せん妄の患者
これは家族が付き添っているので「医療保護入院」です。
3 身元の全く分からない不穏で独語のある患者
これが正解、「応急入院」です。
4 家族に対して易怒的で、長男に連れてこられた前頭側頭型認知症の患者
これは家族が付き添っているので「医療保護入院」です。
5 幻覚・妄想が強く自傷他害のおそれのある統合失調症の患者
これは自傷他害のおそれがあるので「措置入院」です。
第23回 問題10
次の記述のうち、精神障害者の入院形態として、正しいものを1つ選びなさい。
1 任意入院では、48時間に限り退院制限を行うことができる。
2 医療保護入院では、家族等の同意により本人を入院させることができる。
3 措置入院は、家庭裁判所の権限による入院形態である。
4 緊急措置入院は、夜間に限って行われる。
5 「医療観察法」による鑑定入院は、都道府県知事の権限による入院である。
1 任意入院では、48時間に限り退院制限を行うことができる。
間違いです。72時間です。
2 医療保護入院では、家族等の同意により本人を入院させることができる。
これが正解です。
3 措置入院は、家庭裁判所の権限による入院形態である。
間違いです。都道府県知事の権限です。
4 緊急措置入院は、夜間に限って行われる。
間違いです。夜間に限りません。緊急なのに夜間に限ってしまうと意味がありません。
5 「医療観察法」による鑑定入院は、都道府県知事の権限による入院である。
間違いです。鑑定入院は地方裁判所の裁判官が命じます。
第23回 問題61
措置入院に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健指定医の権限で入院を決定する。
2 「精神保健福祉法」により、国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
3 病院の管理者は、本人へ入院に関する告知を行う義務がある。
4 定期病状報告は市町村長に対して行う。
5 病院の管理者が措置の解除を行う。
1 精神保健指定医の権限で入院を決定する。
間違いです。都道府県知事の権限です。
2 「精神保健福祉法」により、国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
これが正解です。
3 病院の管理者は、本人へ入院に関する告知を行う義務がある。
義務はありません。
4 定期病状報告は市町村長に対して行う。
都道府県知事の権限で入院するので、定期病状報告も都道府県知事に対して行います。
5 病院の管理者が措置の解除を行う。
都道府県知事の権限で入院するので、措置の解除も都道府県知事が行います。
第21回 問題62
次のうち、医療保護入院に関する記述として、正しいものを 1 つ選びなさい。
1 都道府県知事の権限による強制入院のことである。
2 入院には、 2名以上の精神保健指定医の診察が必要である。
3 72時間に限り、指定病院に入院させることである。
4 入院に同意する「家族等」には、後見人と保佐人が含まれる。
5 精神科病院への入院時に最優先に選択されるよう法律に定められている。
1 都道府県知事の権限による強制入院のことである。
これは「措置入院」です。
2 入院には、 2名以上の精神保健指定医の診察が必要である。
これは「措置入院」です。
3 72時間に限り、指定病院に入院させることである。
これは「応急入院」です。
4 入院に同意する「家族等」には、後見人と保佐人が含まれる。
これが正解です。
5 精神科病院への入院時に最優先に選択されるよう法律に定められている。
「任意入院」への努力義務が規定されています。
第22回 問題10
次の記述のうち、医療保護入院を検討すべき要件として、適切なものを1つ選びなさい。
1 本人が入院に同意する場合
2 本人が身体的虐待を受けている場合
3 本人に精神疾患に対する病識がなく、入院治療の必要性を理解できない場合
4 医療や保護に急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合
5 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合
1 本人が入院に同意する場合
これは「任意入院」です。
2 本人が身体的虐待を受けている場合
これは安全確保が第一で、医療保護入院とはズレています。
3 本人に精神疾患に対する病識がなく、入院治療の必要性を理解できない場合
これが正解です。本人の意思による任意入院が難しい場合に検討されます。
4 医療や保護に急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合
これは「応急入院」です。
5 自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある場合
これは「措置入院」です。
第19回 問題61
「精神保健福祉法」に規定されている入院に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
2 任意入院は、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。
3 医療保護入院は、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき行われる。
4 医療保護入院は、患者に家族等がいない場合、都道府県知事の同意により入院させることができる。
5 措置入院は、自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限により入院させることができる。
(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
1 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
正しいです。「任意入院」の努力義務です。
2 任意入院は、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。
間違いです。72時間です。
3 医療保護入院は、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき行われる。
正しいです。
4 医療保護入院は、患者に家族等がいない場合、都道府県知事の同意により入院させることができる。
間違いです。都道府県知事ではなく市町村長です。
5 措置入院は、自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限により入院させることができる。
間違いです。警察署長ではなく都道府県知事の権限です。
第22回 問題62
次のうち、精神科病院の管理者が選任し、医療保護入院者の退院に向けた相談支援を担う者として、正しいものを 1 つ選びなさい。
1 精神保健福祉相談員
2 相談支援専門員
3 地域援助事業者
4 退院後生活環境相談員
5 生活支援員
選択肢4が正解です。
第22回 問題67
「医療観察法」における鑑定入院に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
4 入院期間は、原則 4 週間が限度とされている。
5 鑑定は、精神保健審判員が実施する。
(注)1 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
2 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
正しいです。
2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
正しいです。精神科治療を行うことで、通院治療が可能であるか入院治療が必要であるか等の判断が行われます。
3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
間違いです。鑑定入院は「鑑定入院医療機関」で実施されます。
4 入院期間は、原則4週間が限度とされている。
間違いです。鑑定入院期間は原則として2か月以内で必要な場合は1か月の延長が可能です。
5 鑑定は、精神保健審判員が実施する。
間違いです。鑑定は鑑定入院した対象者の鑑定を行うよう裁判所に命令された医師が行います。
この鑑定医の条件は、精神保健判定医または同等以上の学識経験を有する医師とされています。
第25回 問題10
Aさん(20歳、男性)は、両親と兄の4人家族である。Aさんは、3か月前から自室で独り言をつぶやきながら、くぎを壁に抜き差しするなどの奇異な行動があった。母親に注意されると、 「テレパシーが送られてきた。『やめたらお前の負けだ』という声が聞こえてくる」と言い、夜間も頻回に行っていた。また、過去には、母親が早く寝るように言うと、殴りかかろうとしたこともあった。Aさんは、次第に食事や睡眠が取れなくなり、父親に伴われ、精神科病院を受診した。Aさんは、 父親と精神保健指定医による入院の勧めに同意した。
次のうち、この場合の人院形態として、正しいものを1つ選びなさい。
1 措置入院
2 任意入院
3 医療保護入院
4 緊急措置入院
5 応急入院
本人が入院に同意していますので、選択肢2が正解です。
第24回 問題9
- 30歳前後に見える男性は、意味不明の独り言を発しながら、深夜に海岸を一人で歩いていたため、警察に保護された。警察官からの、「何をしていたのか」という問いかけに、「分からない」と答えた。付き添っている人はおらず、「名前や住所は覚えていない」と言い、身元が分かるようなものは所持していなかった。精神疾患を疑った警察官が精神科病院の受診につなげた。1名の精神保健指定医が診察したところ、暴れることはなく、頭部外傷などの身体面に緊急の治療を要する病変や自殺念慮も認められなかった。本人は入院による精神科治療が必要と認めなかったが、精神障害があるため、入院治療が必要と判断された。
次のうち、この時点における男性の入院形態として、適切なものを1つ選びなさい。
1 緊急措置入院
2 措置入院
3 医療保護入院
4 応急入院
5 任意入院
本人の意思でなく、家族等の同意も得られず、自傷他害の恐れもないということで、選択肢4の応急入院が正解です。
第26回 問題61
- 次の記述のうち、「精神保健福祉法」に規定される精神科病院の管理者の役割として、正しいものを2つ選びなさい。
1 入院者からの退院請求に対し、その者の入院継続の要否を審査する。
2 措置入院者に自傷他害の恐れが消失した場合、直ちに、その者を退院させる。
3 医療保護入院を行う場合、その旨を本人に書面で知らせる。
4 入院者に対して、行政機関の職員との面会を制限する。
5 都道府県知事に対して、医療保護入院者の入院届を出す。
(注) 「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
1 入院者からの退院請求に対し、その者の入院継続の要否を審査する。
誤りです。これは精神医療審査会の役割です。
2 措置入院者に自傷他害の恐れが消失した場合、直ちに、その者を退院させる。
誤りです。これは都道府県知事の権限です。
3 医療保護入院を行う場合、その旨を本人に書面で知らせる。
正しいです。
4 入院者に対して、行政機関の職員との面会を制限する。
誤りです。行政機関の職員との面会を制限することはできません。
5 都道府県知事に対して、医療保護入院者の入院届を出す。
正しいです。
公認心理師 第5回 問33
自傷他害のおそれはないが、幻覚妄想があり、入院を必要とする精神障害者で、本人も入院を希望している。この場合に適用される精神保健及び精神障害者福祉に関する法律<精神保健福祉法>に基づく入院形態として、適切なものを1つ選べ。
① 応急入院
② 措置入院
③ 任意入院
④ 医療保護入院
⑤ 緊急措置入院
本人が希望しているので、選択肢③の任意入院です。
次の記事
次は、社会的入院について。

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