ストレス関連障害
明確なストレス因子によって引き起こされる障害は大きく分けて3種類あります。
・心的外傷後ストレス障害
・適応障害
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
診断
以下の場合に心的外傷後ストレス障害(PTSD:Post Traumatic Stress Disorder)と診断されます。
・症状が1カ月以上続いている
・症状が重大な苦痛を引き起こしているか、日常生活に大きな支障をきたしている
・心的外傷後ストレス障害に関連する症状(侵入症状、回避症状、思考や気分に対する悪影響、覚醒レベルと反応の変化)がいくつか認められる
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症状が1か月以上続かない場合は、「急性ストレス障害」になるよ。
症状
WHOの診断ガイドライン「ICD-10」では以下の症状が示されています。
・他者からの孤立
・周囲への鈍感さ
・アンヘドニア(無快楽症、快楽消失)
・トラウマ(心的外傷的出来事)のフラッシュバック
・不眠、不安と抑うつ、自殺念慮など
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アンへドニアはすべての行動が快楽への欲求と結びつかない状態のことだよ。
急性ストレス障害(ASD)
急性ストレス障害(ASD:Acute Stress Disorder)は、大きなストレスを経験して間もなく始まり、1か月未満で消失するものです。
適応障害
適応障害では、特定可能なストレス因子によって引き起こされる、著しい苦痛を伴い日常生活に支障をきたす感情面、行動面の症状があります。
ストレス因子は、失業や死別など独立した出来事、家族問題など持続的問題など様々で、PTSDでみられるような圧倒的な外傷的出来事である必要はありません。
過去問
第22回 問題3
次のうち、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の典型的な症状として、正しいものを1つ選びなさい。
1 アンへドニア
2 多重人格
3 疾病恐怖
4 考想吹入
5 的外れ応答
1 アンへドニア
これが正解です。
2 多重人格
多重人格は「解離性同一性障害」に見られ、一人の人間の中に全く別の性別、性格、記憶などをもつ複数の人格が現れる神経症のことです。
3 疾病恐怖
疾病恐怖は「心気障害(心気症)」に見られ、病気にかかることを恐れている状態のことです。
4 考想吹入
考想吹入(思考吹入)は「統合失調症」に見られ、考えが外から吹き入れられる症状です。
5 的外れ応答
的外れ応答は「ガンザー症候群」に見られ、 質問されると内容はかなり正確につかんでいるのにばかげた応答をします。
第24回 問題3
Aさん(25歳、男性)は、職場でパワーハラスメントにあったことで、意欲低下や食欲低下、不眠などが続き出勤できなくなった。人事担当者は産業医及びAさんと相談し、部署を異動させたところ、Aさんの症状は7日後に改善した。
次のうち、Aさんの病名として、適切なものを1つ選びなさい。
1 境界性パーソナリティ障害
2 適応障害
3 双極性感情障害
4 病気不安
5 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
選択肢2が正解です。適応障害では、特定可能なストレス因子によって引き起こされる、著しい苦痛を伴い日常生活に支障をきたす感情面、行動面の症状がみられます。
次の記事
次は、摂食障害について。
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