障害を受け入れることは、容易ではありません。
もし、自分が失明したり半身不随になってしまったらと考えると、どうでしょう。
障害を「受け入れる」といいますが、実際は「諦める」というのが正確かもしれません。
抗いようのない運命を、どうしようもないから諦めるという感じでしょうか。
泣いても、叫んでも、発狂しても、治らないものは治らない。
だから諦めるんです。
ここではそんな障害受容に至るまでの過程について学びます。
上田敏のモデル
上田敏(うえださとし)は障害の受容を以下のように規定しています。
「障害の受容とは、あきらめでも居直りでもなく、障害に対する価値観の転換であり、障害を持つことが自己の全体としての人間的価値を低下させるものではないことの認識と体得を通じて、恥の意識や劣等感を克服し、積極的な生活態度に転ずること」
障害受容の5段階
障害受容の過程は5段階に分けられます。
1.ショック期
ショック期は、障害を負ったことによるショックはあっても、実感が持てず心は平穏な状態です。
2.否認期
否認期は、回復する可能性に過度な期待を寄せたり、健常者に対し羨望や嫉妬の目を向ける時期です。
3.混乱期
混乱期は、障害が治らないことを実感し、気落ちしたり自暴自棄になる時期です。
4.解決への努力期
解決への努力期は、自分で努力しなければならないことを自覚し、リハビリや治療に前向きになる時期です。
5.受容期
受容期は、「障害も含めて自分である」ことを認められるようになる時期で、自分の新たな役割や価値観を見出せるようになります。
フィンクの危機モデル
フィンク(Fink,S.)の危機モデルは、ショック性危機に陥った中途障害者を想定しており、以下の4段階で構成されています。
障害受容の4段階
1.衝撃の段階
衝撃の段階は、最初の心理的ショックの時期です。
2.防御的退行の段階
防御的退行の段階は、危機に対して自分を守る時期です。現実に直面することが難しく、起きている状況に無関心になったり、関係のないことを言ってみたりして不安の軽減を図ります。
3.承認の段階
承認の段階は、自分におかれた危機に直面する時期です。
4.適応の段階
適応の段階は、自分の変容を受容し、新しい価値観を構築していく段階です。
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フィンクのモデルも上田敏のモデルも、たどるプロセスは似てるね。
過去問
第28回 問題11
次のうち、リハビリテーションの観点から4段階の危機モデルを提唱した人物として、正しいものを1つ選びなさい。
1 フィンク(Fink,S.)
2 マズロー(Maslow,A.)
3 ピアジェ(Piaget,J.)
4 サリヴァン(Sullivan,H.)
5 ハヴィガースト(Havighurst,R.)
選択肢1のフィンクが正解です。
介護福祉士 第35回 問題52
- 上田敏の障害受容のモデルにおける受容期の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 受傷直後である。
2 障害の状態を否認する。
3 リハビリテーションによって機能回復に取り組む。
4 障害のため何もできないと捉える。- 5 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。
1 受傷直後である。
受傷直後はショック期です。
2 障害の状態を否認する。
これは否認期です。
3 リハビリテーションによって機能回復に取り組む。
これは解決への努力期です。
4 障害のため何もできないと捉える。
これは混乱期です。
5 障害に対する価値観を転換し、積極的な生活態度になる。
これが正解、受容期です。
次の記事
次からは、心理学に入っていきます。まずは心理療法から。


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