発達障害者支援法
発達障害の定義
第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
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精神保健福祉法における精神障害者の定義も、統合失調症などの疾患名が羅列されていたね。
障害 | 定義 | 根拠法 |
---|---|---|
身体障害者 | 身体障害者手帳の交付を受けた者 | 身体障害者福祉法 |
知的障害者 | 定義なし | – |
精神障害者 | 統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する者 | 精神保健福祉法 |
発達障害者 | 発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受ける者 | 発達障害者支援法 |
就労支援
第十条 国及び都道府県は、発達障害者が就労することができるようにするため、発達障害者の就労を支援するため必要な体制の整備に努めるとともに、公共職業安定所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、社会福祉協議会、教育委員会その他の関係機関及び民間団体相互の連携を確保しつつ、個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労の定着のための支援その他の必要な支援に努めなければならない。
このような発達障害者の就労支援は国と都道府県の努力義務になっています。
発達障害者支援センター
第十四条 都道府県知事は、次に掲げる業務を、社会福祉法人その他の政令で定める法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者(発達障害者支援センター)に行わせ、又は自ら行うことができる。
一 発達障害の早期発見、早期の発達支援等に資するよう、発達障害者及びその家族その他の関係者に対し、専門的に、その相談に応じ、又は情報の提供若しくは助言を行うこと。
二 発達障害者に対し、専門的な発達支援及び就労の支援を行うこと。
三 医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者に対し発達障害についての情報の提供及び研修を行うこと。
四 発達障害に関して、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体との連絡調整を行うこと。
五 前各号に掲げる業務に附帯する業務
発達障害者の就労支援は都道府県の努力義務になっていましたが、それを発達障害者支援センターに行わせることができると規定されています。
発達障害者支援地域協議会
都道府県は、発達障害者の支援の体制の整備を図るため、発達障害者及びその家族、学識経験者その他の関係者並びに医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体並びにこれに従事する者により構成される発達障害者支援地域協議会を置くことができる。
発達障害者支援地域協議会の設置は、都道府県の任意です。
過去問
第22回 問題60
発達障害者支援法の規定に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。1 市町村は、個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労定着のための支援に努めなければならない。2 都道府県は、支援体制の課題を共有するとともに、関係者の連携の緊密化を図るため、発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。3 発達障害者とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。4 都道府県知事は、発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。5 都道府県知事は、該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。
1 市町村は、個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労定着のための支援に努めなければならない。
誤りです。これは市町村ではなく国及び都道府県です。
2 都道府県は、支援体制の課題を共有するとともに、関係者の連携の緊密化を図るため、発達障害者支援地域協議会を設置しなければならない。
誤りです。発達障害者支援地域協議会の設置は、都道府県の任意です。
3 発達障害者とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。
正しいです。
4 都道府県知事は、発達障害者に対する専門的な就労の支援等を障害者就業・生活支援センターに行わせることができる。
誤りです。障害者就業・生活支援センターではなく、発達障害者支援センターです。
5 都道府県知事は、該当する者に精神障害者保健福祉手帳を交付する。
誤りです。精神障害者保健福祉手帳は精神保健福祉法に規定されています。
第24回 問題14
- 次のうち、発達障害者支援法に規定されているものとして、正しいものを2つ選びなさい。
1 精神障害者保健福祉手帳の交付
2 自立支援医療費の支給
3 社会的障壁の定義
4 発達障害者支援センターの指定
5 職場適応援助者の養成
1 精神障害者保健福祉手帳の交付
誤りです。精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法に規定されています。
2 自立支援医療費の支給
誤りです。自立支援医療費の支給は、障害者総合支援法に規定されています。
3 社会的障壁の定義
正しいです。発達障害者支援法には、「社会的障壁とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」と規定されています。
4 発達障害者支援センターの指定
正しいです。発達障害者支援法には、「都道府県知事は、次に掲げる業務を、社会福祉法人その他の政令で定める法人であって当該業務を適正かつ確実に行うことができると認めて指定した者(発達障害者支援センター)に行わせ、又は自ら行うことができる。」と規定されています。その業務内容としては、相談、情報提供、助言、研修、専門的な発達支援及び就労の支援などが挙げられています。
5 職場適応援助者の養成
誤りです。職場適応援助者は、障害者雇用促進法で規定されています。
次の記事
次は、世界保健機関WHOなどの世界的な精神保健機関について。
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