精神保健福祉系専門職
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、精神保健福祉士法の第2条に以下のように規定されています。
精神保健福祉士法 第2条
この法律において「精神保健福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいう
精神保健福祉相談員
精神保健福祉相談員は、精神保健福祉法の第48条に規定されています。
精神保健福祉法 第48条
都道府県及び市町村は、精神保健福祉センター及び保健所その他これらに準ずる施設に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者等及びその家族等その他の関係者を訪問して必要な情報の提供、助言その他の援助を行うための職員(精神保健福祉相談員)を置くことができる。
2 精神保健福祉相談員は、精神保健福祉士その他政令で定める資格を有する者のうちから、都道府県知事又は市町村長が任命する。
精神保健福祉相談員は精神保健福祉士が公務員試験を受けて合格すればなることができて、保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関に配属されます。
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業務内容は精神保健福祉士とほとんど変わりないけどね。
精神・発達障害者雇用サポーター
精神・発達障害者雇用サポーターは、精神障害や発達障害のある求職者にカウンセリングや職場実習のコーディネート、就職準備プログラムや就職後のフォローアップ等を実施する専門職です。
医療系国家資格
医師
医師という国家資格は業務独占でもあり名称独占でもあることを覚えておきましょう。
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業務独占というのはその資格を持った人でなければ行えないということ。名称独占というのはその名称を用いることができるのはその資格を持った人だけであるということだよ。
例えば社会福祉士の仕事は社会福祉士資格を持っていない人にも許されています。
しかし名称独占ですから社会福祉士という名称を用いることはできません。
医師の業務には「薬の処方」があります。「薬の処方」は薬剤師の仕事ではありません。
「医薬分業」といいます。覚えておきましょう。
薬剤師
上にも書きましたが、薬剤師の仕事は薬の処方ではなく調剤です。
薬剤師も業務独占かつ名称独占です。
理学療法士(PT:Physical Therapist)
理学療法士が行う治療の対象は身体障害者です。
歩くとか立ち上がるといった基本動作のリハビリを行うのが理学療法士です。
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医療機関だけでなくスポーツ関連施設などにもいたりするよね。
理学療法士が業務を行うには、医師の指示が必要であることも覚えておいてください。
作業療法士(OT:Occupational Therapist)
作業療法士の治療の対象は身体障害者と精神障害者です。
理学療法士と異なるのは精神障害者が対象であることです。
業務内容は食事や料理など応用動作のリハビリで、理学療法で基本的動作ができるようになった人等が、さらなる応用動作のリハビリや、心の問題のリハビリにも取り組みます。
ですので福祉施設や児童養護施設などに配置されたりします。
言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)
言語聴覚士は言語、音声、嚥下に関するリハビリを行います。
例えば、失語症のリハビリなどには言語聴覚士が活躍します。
資格の名称からは「嚥下」が想像しにくいのでよく試験に出ます。
言語聴覚士の役割として、嚥下のリハビリがあることを覚えておいてください。
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「嚥下(えんげ)」というのは食べ物を飲み込むこと。
「燕(ツバメ)」という字が含まれていて、これはツバメの子が大きな口を開けて親から食べ物をもらう様子からだね。

看護師、助産師、保健師
保健師助産師看護師法において、看護師と助産師は「業務独占かつ名称独占」で、保健師は「名称独占」です。
2007年以前は、保健師だけが名称独占で、看護師と助産師は名称独占ではありませんでした。
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昔は看護師と助産師は「業務独占だけど名称独占でない」という珍しい形だったよ。
2007年の法改正によって看護師も助産師も名称独占になりました。
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ちなみに、看護師は国家資格だけど、准看護師は都道府県知事発行する免許だよ。
まとめ
資格 | 業務独占 | 名称独占 | 根拠法 | 対象 | 特記すべき業務 |
---|---|---|---|---|---|
医師 | 〇 | 〇 | 医師法 | 薬の処方 | |
薬剤師 | 〇 | 〇 | 薬剤師法 | 薬の調剤 | |
看護師 | 〇 | 〇 | 保健師助産師看護師法 | ||
助産師 | 〇 | 〇 | 保健師助産師看護師法 | ||
保健師 | 〇 | 保健師助産師看護師法 | |||
理学療法士 | 〇 | 理学療法士及び作業療法士法 | 身体障害者 | 基本動作のリハビリ | |
作業療法士 | 〇 | 理学療法士及び作業療法士法 | 身体・精神障害者 | 心と体の両面から、応用動作のリハビリ | |
言語聴覚士 | 〇 | 言語聴覚士法 | 言語機能や摂食・嚥下機能のリハビリ等 | ||
歯科衛生士 | 〇 | 〇 | 歯科衛生士法 | ||
歯科技工士 | 〇 | 歯科技工士法 | |||
診療放射線技師 | 〇 | 〇 | 診療放射線技師法 | ||
衛生検査技師 | 〇 | 臨床検査技師等に関する法律 | |||
臨床検査技師 | 〇 | 臨床検査技師等に関する法律 | 血液検査や尿検査等の検査 | ||
臨床工学技師 | 〇 | 臨床工学技士法 | 生命維持装置の操作等 | ||
視能訓練士 | 〇 | 視能訓練士法 | |||
技師装具士 | 〇 | 技師装具士法 | |||
救急救命士 | 〇 | 救急救命士法 | |||
社会福祉士 | 〇 | 社会福祉士及び介護福祉士法 | ※医師の指示が必要な業務はない | ||
介護福祉士 | 〇 | 社会福祉士及び介護福祉士法 | |||
精神保健福祉士 | 〇 | 精神保健福祉士法 | ※一部医師の指導で行う業務あり | ||
公認心理師 | 〇 | 公認心理師法 |

過去問
第26回 問題26
- 次の記述のうち、精神保健福祉相談員に関する説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神障害者及びその家族等その他の関係者に対する訪問指導業務を行う。- 2 厚生労働大臣が任命する。
3 精神保健福祉センターや保健所その他これらに準ずる施設に必置される。
4 精神保健福祉士が担う場合には、3年以上の実務経験が必要となる。- 5 「障害者総合支援法」に規定されている。
(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
1 精神障害者及びその家族等その他の関係者に対する訪問指導業務を行う。
正しいです。
2 厚生労働大臣が任命する。
誤りです。都道府県知事又は市町村長が任命します。
3 精神保健福祉センターや保健所その他これらに準ずる施設に必置される。
誤りです。必置ではなく任意です。
4 精神保健福祉士が担う場合には、3年以上の実務経験が必要となる。
誤りです。このような規定はありません。
5 「障害者総合支援法」に規定されている。
誤りです。精神保健福祉法に規定されています。
第23回 問題25
福祉行政・関連行政機関に勤務する職員の主たる業務に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 児童福祉司は、子どもや保護者からの相談に応じ、家族関係の調整等を行う。
2 障害者職業カウンセラーは、障害者の職場で支援計画に基づく直接支援を行う。
3 知的障害者福祉司は、公共職業安定所(ハローワーク)に配置され、職業紹介を行うために必要な援助について明らかにする。
4 保護観察官は、医療観察制度の対象者の精神保健観察を行う。
5 精神保健福祉相談員は、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、必要な指導を行う。
1 児童福祉司は、子どもや保護者からの相談に応じ、家族関係の調整等を行う。
正しいです。
2 障害者職業カウンセラーは、障害者の職場で支援計画に基づく直接支援を行う。
間違いです。障害者職業カウンセラーは直接支援は行いません。これはジョブコーチの役割です。
3 知的障害者福祉司は、公共職業安定所(ハローワーク)に配置され、職業紹介を行うために必要な援助について明らかにする。
間違いです。知的障害者福祉司はハローワークに配置されません。福祉事務所や知的障害者更生相談所に配置されます。
4 保護観察官は、医療観察制度の対象者の精神保健観察を行う。
間違いです。精神保健観察を行うのは社会復帰調整官です。
5 精神保健福祉相談員は、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、必要な指導を行う。
正しいです。
第23回 問題24
次の記述のうち、精神保健福祉士が行う自立支援として、適切なものを1つ選びなさい。
1 サービス担当者会議では、クライエントの混乱を避けるため、必要なサービスの利用に関する説明は最小限で行う。
2 福祉制度の活用を希望しているクライエントには、その理由について聞くとともに、申請の手続の説明を行う。
3 地域で生活をしているクライエントには、フォーマルネットワークよりインフォーマルネットワークを優先した支援を行う。
4 非自発的入院となったクライエントには、任意入院に切り替わってから退院支援を行う。
5 セルフヘルプグループの活動では、グループワークの技法を積極的に使用して、援助を行う。
選択肢2が正解です。
第22回 問題45
精神保健福祉士が担う職務に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 サービス管理責任者として、サービス等利用計画を作成する。
2 相談支援専門員として、個別支援計画を作成する。
3 精神保健福祉相談員として、在宅における生活介護を行う。
4 精神障害者雇用トータルサポーターとして、職場適応訓練で指導する。
5 福祉専門官として、特別調整など支援の必要な受刑者に対応する。
1 サービス管理責任者として、サービス等利用計画を作成する。
間違いです。サービス管理責任者は、実務経験と研修の修了でなることができます。
2 相談支援専門員として、個別支援計画を作成する。
間違いです。相談支援専門員は、実務経験と研修の修了でなることができます。
3 精神保健福祉相談員として、在宅における生活介護を行う。
間違いです。精神保健福祉相談員は、精神保健福祉その他政令で定める資格を有する者のうちから都道府県知事又は市町村長が任命します。
4 精神障害者雇用トータルサポーターとして、職場適応訓練で指導する。
間違いです。精神障害者雇用トータルサポーターは、精神保健福祉士又は臨床心理士で精神障害者等の相談に実務経験を有する者とされています。
5 福祉専門官として、特別調整など支援の必要な受刑者に対応する。
これが正解です。福祉専門官は社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する者が担います。
第21回 問題26
医療機関に勤務する専門職に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 薬剤師は、医師等の処方箋に対して疑わしい点がある場合には、他の薬剤師と相談して処方を変更し、調剤を行う。
2 看護師は、医師の指示なく自身の判断で入院中の患者の薬剤の投与や採血、創部の処置を行う。
3 作業療法士は、患者の状態像をアセスメントし、医師の指示の下に、社会的適応能力等の回復を図るため、工作等の作業指導を行う。
4 公認心理師は、業務独占で心理面接や心理検査を行う。
5 管理栄養士は、傷病者に対する栄養指導並びに施設での給食管理及び栄養改善上の必要な指導等を行う。
1 薬剤師は、医師等の処方箋に対して疑わしい点がある場合には、他の薬剤師と相談して処方を変更し、調剤を行う。
間違いです。薬剤師法第24条において、「処方箋中に疑わしい点(疑義)がある場合は、発行した医師などに問い合わせて確かめること(照会)ができるまで調剤してはならない」という、疑義照会の義務が定められていますが、薬を処方できるのは医師のみです。
2 看護師は、医師の指示なく自身の判断で入院中の患者の薬剤の投与や採血、創部の処置を行う。
間違いです。基本的には医師の指示の下に業務を行わなければなりません。
3 作業療法士は、患者の状態像をアセスメントし、医師の指示の下に、社会的適応能力等の回復を図るため、工作等の作業指導を行う。
正しいです。
4 公認心理師は、業務独占で心理面接や心理検査を行う。
間違いです。公認心理師は名称独占です。
5 管理栄養士は、傷病者に対する栄養指導並びに施設での給食管理及び栄養改善上の必要な指導等を行う。
正しいです。
第25回 問題27
次の記述のうち、精神科医療機関に勤務する専門職が患者に対して行う業務として、正しいものを1 つ選びなさい。
1 公認心理師は、主治医の指示がなくも心理検査や心理療法を実施することができる。
2 薬剤師は、医師等の処方箋に疑わしい点がある場合には、自身の判断で薬剤変更することができる。
3 看護師は、薬剤の投与や採血、創部の処直などを、医師の指示なく、自身の判断で行うことができる。
4 作業療法士は、医師の指示の下に、社会的適応能力等の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることができる。
5 精神保健指定医は、入院患者に対し、信書の発信を制限することができる。
1 公認心理師は、主治医の指示がなくも心理検査や心理療法を実施することができる。
誤りです。公認心理師は主治医の指示が必要です。
2 薬剤師は、医師等の処方箋に疑わしい点がある場合には、自身の判断で薬剤変更することができる。
誤りです。薬剤師は医師の指示がないと薬剤変更できません。
3 看護師は、薬剤の投与や採血、創部の処直などを、医師の指示なく、自身の判断で行うことができる。
誤りです。看護師は緊急時以外は医師の指示が必要です。
4 作業療法士は、医師の指示の下に、社会的適応能力等の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることができる。
これが正解です。
5 精神保健指定医は、入院患者に対し、信書の発信を制限することができる。
誤りです。信書の発信は制限できません。
第24回 問題26
- 次の記述のうち、精神保健福祉に関わる専門職等の役割について、正しいものを1つ選びなさい。
1 退院後生活環境相談員は、包括型地域生活支援プログラム(ACT)で訪問を行う。
2 生活保護現業員は、リワークプログラムにおいて就労に関するアセスメントを行う。
3 社会復帰調整官は、精神障害者保健福祉手帳の交付の判定を行う。
4 精神保健福祉相談員は、精神科デイ・ケアで集団生活への適応訓練を行う。
5 精神障害者雇用トータルサポーターは、職場実習先の開拓及び実施のための事業所への助言や調整を行う。
1 退院後生活環境相談員は、包括型地域生活支援プログラム(ACT)で訪問を行う。
誤りです。退院後生活環境相談員は、医療保護入院や措置入院の患者への退院支援を行います。
2 生活保護現業員は、リワークプログラムにおいて就労に関するアセスメントを行う。
誤りです。生活保護現業員(ケースワーカー)は、生活保護に関する業務が専門です。
3 社会復帰調整官は、精神障害者保健福祉手帳の交付の判定を行う。
誤りです。社会復帰調整官は、保護観察所に所属して医療観察制度の精神保健観察等を担います。
4 精神保健福祉相談員は、精神科デイ・ケアで集団生活への適応訓練を行う。
誤りです。精神保健福祉相談員は、保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関に配属されます。
5 精神障害者雇用トータルサポーターは、職場実習先の開拓及び実施のための事業所への助言や調整を行う。
正しいです。
第24回 問題39
- 次の記述のうち、精神保健福祉士が連携する職種の役割として、適切なものを1つ選びなさい。
1 公認心理師は、不安や抑うつを訴える患者のストレス反応の評価を行う。
2 薬剤師は、不安で眠れない患者への、睡眠導入剤の処方を行う。
3 作業療法士は、食事摂取カロリーが気になる患者に、献立の作成を行う。
4 介護支援専門員は、転倒を繰り返す患者に、歩行機能の訓練を行う。
5 医師は、障害福祉サービスの利用を希望する患者への、申請書の作成を行う。
1 公認心理師は、不安や抑うつを訴える患者のストレス反応の評価を行う。
正しいです。
2 薬剤師は、不安で眠れない患者への、睡眠導入剤の処方を行う。
誤りです。薬の処方は医師の役割です。
3 作業療法士は、食事摂取カロリーが気になる患者に、献立の作成を行う。
誤りです。献立の作成は管理栄養士の役割です。
4 介護支援専門員は、転倒を繰り返す患者に、歩行機能の訓練を行う。
誤りです。歩行機能の訓練は理学療法士の役割です。
5 医師は、障害福祉サービスの利用を希望する患者への、申請書の作成を行う。
誤りです。障害福祉サービスの利用申請支援は相談支援専門員の役割です。
第24回 問題45
- 次のうち、相談援助機関に配置される職員として、正しいものを1つ選びなさい。
1 児童相談所の精神保健福祉相談員
2 就労移行支援事業所の相談支援専門員
3 地域活動支援センターⅠ型の精神保健福祉士
4 ひきこもり地域支援センターの児童福祉司
5 障害者就業・生活支援センターの障害者職業カウンセラー
1 児童相談所の精神保健福祉相談員
誤りです。精神保健福祉相談員は、児童相談所ではなく保健所や精神保健福祉センター等に配置されます。
2 就労移行支援事業所の相談支援専門員
誤りです。相談支援専門員は相談支援事業所に配置されます。
3 地域活動支援センターⅠ型の精神保健福祉士
正しいです。地域活動支援センターにはⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型があり、Ⅰ型は医療や福祉、地域社会とのつながりを強化するための調整役として精神保健福祉士等の専門職員が配置されます。
4 ひきこもり地域支援センターの児童福祉司
誤りです。ひきこもり地域支援センターには、ひきこもり支援コーディネーター等が配置されます。
5 障害者就業・生活支援センターの障害者職業カウンセラー
誤りです。障害者職業カウンセラーは、障害者就業・生活支援センターではなく、地域障害者職業センター等に配置されます。
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事 例〕
Mさん(73歳、女性)のことでA民生委員が、保健所に勤務しているB精神保健福祉相談員のもとに相談に訪れた。
Mさんは夫と共に商店街の一角で米屋を営んでいたが、2年前に夫を亡くし、米屋を廃業した。
その後、一人暮らしをしていたが、約半年前から、物忘れがみられ始めた。
連絡を受けた長女が同行し専門医を受診したところ、軽度のアルツハイマー型認知症と診断された。
長女は義父の介護があり同居できないため、Mさんは単身生活を続けていたが、一週間前、外出したまま家に帰れなくなり警察に保護された。
長年、Mさん夫婦と一緒に商店街活動をしてきた住民たちは、とても心配しているとのことであった。
さっそくB精神保健福祉相談員は自宅を訪問した。
Mさんは、「生活の中で困っていることは特にないし、まだ誰かの世話にならなくても大丈夫です」と話した。
また、「時々、泥棒に入られて物が盗られるんです。でも、いつもAさんに一緒に探してもらうと見つかりますよ」とも言う。
その話を聞いたB精神保健福祉相談員は、定期的に訪問をすることとした。(問題55)訪問終了後、A民生委員や、同じ商店街に住むMさんを心配する住民のところへ立ち寄り、話を聞いた。(問題56)
その後Mさんは、再度、外出したまま行方不明になった。再び警察に保護されたこともあって、Mさんは長女に伴われて保健所を訪れた。そこで、B精神保健福祉相談員は、Mさん、長女、A民生委員、心配している住民たちと話合いの場をもった。長女は施設入所を希望したが、Mさんは自宅での生活を続けたいと強く希望した。住民らは、火の不始末による火災が心配だと言った。B精神保健福祉相談員はMさんへの個別的な支援を展開することと併せて、A民生委員をはじめとする住民たちによる支えや、不足している地域資源を新たに創り出すなど、Mさんを支える生活環境の整備も展開することを提案した。(問題57)
第17回 問題55
次のうち、B精神保健福祉相談員の行う定期的訪問の目的として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自立生活訓練
2 支援計画の作成
3 入院援助
4 家事援助
5 経過観察・見守り
正解は5です。
第17回 問題56
次のうち、この時点でのB精神保健福祉相談員の援助プロセスとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 アセスメント
2 プランニング
3 インターベンション
4 モニタリング
5 エバリュエーション
選択肢1が正解です。
第17回 問題57
次のうち、B精神保健福祉相談員が提案した支援の方法として、正しいものを1つ選びなさい。
1 コミュニティソーシャルワーク
2 コミュニティディベロップメント
3 コミュニティビジネス
4 コミュニテイオーガニゼーション
5 コミュニテイベースドリハビリテーション
選択肢1が正解です。
コミュニティオーガニゼーションについては以下の記事で知っておきましょう。

次の記事
次は、精神保健福祉士について。
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