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【障害福祉の理念】ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョン、社会的障壁の除去、合理的配慮

合理的配慮 【新カリ】精神保健福祉の原理
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国連障害者権利条約に規定されている「合理的配慮」を、障害者基本法や障害者差別解消法に盛り込むことで、日本は同条約の批准に至りました。

2006年 「国連障害者権利条約」採択@国連
2011年 「障害者基本法」改正(合理的配慮)@日本
2013年 「障害者差別解消法」成立(合理的配慮)@日本
2014年 「国連障害者権利条約」批准@日本
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国連障害者権利条約

合理的配慮」とは障害のある人が他の人同様の人権と基本的自由を享受できるように、物事の本質を変えてしまったり、多大な負担を強いたりしない限りにおいて、配慮や調整を行うことである。

障害者基本法

ノーマライゼーション

第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

この第一条では、「ノーマライゼーション」の理念が書かれていますね。

「障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」というノーマライゼーションの理念が全ての基本になります。

ソーシャルインクルージョン(地域社会における共生)

第三条 第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。
一 全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。 
二 全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。 
三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。

ここでは「障害者は、社会を構成する一員として・・・」という「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」の理念が書かれています。ソーシャルインクルージョンは社会的に孤立を深めている人に社会の構成員として包み込み、ともに生きる社会を目指す理念です。

また、「言語その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに・・・」という「意思決定支援」についても書かれています。

意思決定支援については2006年に国連で採択された障害者権利条約の中で初めて登場し、日本政府は障害者権利条約を批准するために障害者基本法にその内容を盛り込みました。

社会的障壁の除去のための合理的配慮

第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
カリスマくん
カリスマくん

障害者基本法は障害福祉の理念が規定された重要な法律だよ。
合理的配慮、ノーマライゼーション、ソーシャルインクルージョン、社会的障壁の除去、意思決定支援などなど、忘れないで。

障害者基本法には、このような理念の他、公共的施設のバリアフリー化、情報利用のバリアフリー化、内閣府が策定する障害者基本計画、都道府県と市町村が策定する障害者計画障害者政策委員会障害者週間などが規定されています。

障害者差別解消法

社会的障壁とは

第二条の2 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
カリスマくん
カリスマくん

社会的障壁には慣行や観念も含まれるんだね。

国及び地方公共団体による啓発活動

第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。

行政機関等の合理的配慮

第七条の2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

このように行政機関等には合理的配慮の提供が義務化されていましたが、2024年度から以下のように事業者についても義務化されました。

事業者の合理的配慮

第八条の2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

過去問

第24回 問題42

次の記述のうち、発達障害のある学生に対して、キャンパスソーシャルワーカー(精神保健福祉士)が行う支援として、適切なものを1つ選びなさい。
1 履修登録の仕組みの理解が難しい場合、本人の代わりに履修登録をする。
2 計画的な課題提出が難しい場合、提出期限を変更するよう教員に依頼する。
3 書字障害がある場合、書き取りの練習を繰り返すように助言する。
4 授業中に照明がまぶしいと感じる場合、サングラスを使用できるように大学と調整する。
5 教員からの質問の意味が分からない場合、自分なりに解釈してよいと伝える。

選択肢4が正解です。社会的障壁の除去のための合理的配慮です。

第24回 問題48

グループホームを運営しているH精神保健福祉士のところへ、近所でアパート経営をしているJさんが相談に来た。内容は、アパートの空き家対策としてのグループホームへの転用と、それによる利用者と地域住民とのトラブルの心配についてであった。H精神保健福祉士はJさんとの話から、不動産関係者が精神障害者について理解すれば、空き家をグループホームとして活用でき、精神障害者が地域住民の一員として溶け込んで、コミュニティケアが進むのではないかと考えた。そこでH精神保健福祉士は、自身の参加している支援協議会でアパート経営者や不動産関係者向けの精神障害者支援セミナーの開催を提案した。
次のうち、H精神保健福祉士が提案する際に意図した精神障害者支援の理念として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルインクルージョン
2 ソーシャルロール・バロリゼーション
3 ソーシャルジャスティス
4 ソーシャルイクオリティ
5 ソーシャル・コンストラクショニズム

選択肢1が正解です。Jさんが地域住民の一員として溶け込んで、コミュニティケアを進めるというソーシャルインクルージョンの理念です。選択肢5のソーシャル・コンストラクショニズムは社会構成主義のことです。

第25回 問題73

「障害者差別解消法」に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 事業者には、差別の解消を図るために必要な啓発活動を行うことが義務づけられている。
2 公的機関には、合理的配慮の提供は努力義務として規定されている。
3 障害者の権利に関する条約の批准に向けてこの法律が制定された。
4 この法律における障害者の定義では、障害者手帳の所持が規定されている。
5 社会的障壁の定義では、社会における慣行や観念も含まれている。

(注)「障害者差別解消法」とは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」のことである。

1 事業者には、差別の解消を図るために必要な啓発活動を行うことが義務づけられている。
誤りです。啓発活動が義務づけられているのは、国及び地方公共団体です。

2 公的機関には、合理的配慮の提供は努力義務として規定されている。
誤りです。公的機関の合理的配慮の提供は、義務です。

3 障害者の権利に関する条約の批准に向けてこの法律が制定された。
正しいです。

4 この法律における障害者の定義では、障害者手帳の所持が規定されている。
誤りです。障害者差別解消法にはこのような定義はありません。身体障害者福祉法には身体障害者として手帳の所持が規定されています。

5 社会的障壁の定義では、社会における慣行や観念も含まれている。
正しいです。

第24回 問題62

次のうち、障害者基本法に規定されている事項として、正しいものを1つ選びなさい。
1 都道府県障害者計画に関する合議制の機関の設置
2 障害福祉計画の策定
3 高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業の展開
4 都道府県障害者権利擁護センターの業務
5 難病相談支援センターの設置

1 都道府県障害者計画に関する合議制の機関の設置
正しいです。障害者計画に関する内容は障害者基本法に規定されています。

2 障害福祉計画の策定
誤りです。障害福祉計画は障害者総合支援法に規定されています。

3 高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業の展開
誤りです。これは障害者総合支援法に規定される地域生活支援事業に位置づけられます。

4 都道府県障害者権利擁護センターの業務
誤りです。都道府県障害者権利擁護センターは障害者虐待防止法に規定されています。

5 難病相談支援センターの設置
誤りです。難病相談支援センターは、難病の患者に対する医療等に関する法律に規定されています。

第25回 問題25

相談援助の理念に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1  自立支援とは、不十分な生活スキルを訓練して克服し、地域での暮らしを可能にするための実践的理念をいう。
2  ノーマライゼーションとは、障害者が地域において普通の生活を営むことが、当たり前である社会をつくる理念をいう。
3  ハームリダクションとは、罪悪感に働きかけて薬物を断つ動機を高めることを目指す支援理念をいう。
4  ボランタリズムとは、国や行政による福祉サービスの恩恵を自発的に受けて自立を実現する理念をいう。
5  ソーシャルイクオリティとは、信頼・規範・ネットワークという人々の協調行動を重視した活動の理念をいう。

1  自立支援とは、不十分な生活スキルを訓練して克服し、地域での暮らしを可能にするための実践的理念をいう。
誤りです。自立は自分で生活できるための実践理念ではなく、社会資源を活用することで自分の意思を反映しながら生活していくことです。

2  ノーマライゼーションとは、障害者が地域において普通の生活を営むことが、当たり前である社会をつくる理念をいう。
正しいです。

3  ハームリダクションとは、罪悪感に働きかけて薬物を断つ動機を高めることを目指す支援理念をいう。
ハームリダクションは、罪悪感に働きかけて薬物を絶つのではなく、薬物を絶つことよりも薬物の害を軽減することに焦点を当てる概念です。

4  ボランタリズムとは、国や行政による福祉サービスの恩恵を自発的に受けて自立を実現する理念をいう。
誤りです。ボランタリズムは、国の政策よりも、市民の自発性に基づく活動を評価する思想です。

5  ソーシャルイクオリティとは、信頼・規範・ネットワークという人々の協調行動を重視した活動の理念をいう。
誤りです。これはソーシャルキャピタルの内容です。ソーシャルイクオリティは、社会の不平等を是正し平等を保証することです。

第25回 問題62

障害者基本法に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1  障害者週間を設けることが規定されている。
2  法の制定当初から、障害を理由とする差別を禁じている。
3  精神障害者の長期入院の解消について規定されている。
4  法改正により、「障害者の家族にあつては、障害者の自立の促進に努めなければならない」という規定が削除されている。
5  障害者の定義から、発達障害者は除外されている。

選択肢1と4が正解です。障害者週間は、毎年12月3日から12月9日までと定められています。

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次は、ノーマライゼーション3人衆です。

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