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【医療観察制度】心神喪失や心神耗弱で罪を犯した人へ

医療観察法【新カリ】精神医学と精神医療
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医療観察制度

医療観察法は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」という長い名称の法律です。

医療観察制度では、医療観察法に基づいて心神喪失・心神耗弱の状態で重大な他害行為(殺人や放火など)を行い、不起訴処分または無罪が確定した人の処遇を実施します。

重大な他害行為:殺人、強盗、傷害(致死)、不同意性交等、不同意わいせつ、放火
心神耗弱:減刑される
心神喪失:無罪になる

審判

その処遇を決めるに当たって重要な役割を担うのが、裁判官、精神保健審判員精神保健参与員です。

審判は裁判官1名と精神保健審判員1名の合議体で行われ、精神保健参与員は意見を述べることができます。

精神保健審判員:審判において裁判官と合議して医学的見地から提言。厚生労働大臣が作成した精神保健判定医名簿の中から、裁判所が事件ごとに任命。
精神保健参与員:審判において精神保健福祉の視点から意見を述べる精神保健福祉士等。一定の要件を満たし、「精神保健判定医等養成研修」を修了していることが必要。厚生労働大臣が作成した名簿の中から、各事件毎に裁判所が任命します。

鑑定入院

審判が下るまでは「鑑定入院」という形態の入院が実施されます。

鑑定入院中は、検査・診断だけでなく精神科治療も行われ、原則2か月(最長3か月)という期間の定めがあります。

鑑定入院は鑑定入院医療機関で実施されます。

カリスマくん
カリスマくん

鑑定入院医療機関と下で出てくる指定入院医療機関は違うよ。

処遇

審判によって「指定入院医療機関」に入院するか、精神保健観察に付されながら「指定通院医療機関」に通院するか、不処遇か、決まります。

指定入院医療機関:厚生労働大臣が指定、入院期間は1年半を標準とするが上限なし
指定通院医療機関:厚生労働大臣が指定、通院期間は原則3年(最長5年)

入院処遇は急性期(3か月)、回復期(9か月)、社会復帰期(6か月)の3段階に分けられ、1年半を標準とします。

病状が改善すると、指定入院医療機関は地方裁判所に退院の申立てを行います。

地方裁判所は退院を決定すると、引き続き通院処遇の決定や医療観察法の処遇を終了する決定を行います。

通院処遇が決定すると、原則3年間、指定通院医療機関に通院し、継続が必要と判断されれば、保護観察所が通院期間延長の申立てを行い、地方裁判所の審判により決定されます。通院期間は最長5年間になります。

通院処遇では保護観察所長が処遇実施計画を作成し、ケア会議で援助内容等について協議されます。

指定入院医療機関で入院中に実施されるケア会議は「CPA会議」
(CPA:Care Programme Approach)

精神保健観察に付されれば、社会復帰調整官によって面接や家庭訪問、アドバイス等が実施されます。

社会復帰調整官:保護観察所に配置され、医療観察法における生活環境の調査・調整、精神保健観察等を行う
<要件>

・精神保健福祉士、又は精神障害者の保健及び福祉に関する高い専門的知識を有し、かつ社会福祉士、保健師、看護師、作業療法士、公認心理師、臨床心理士の資格を有すること
・精神保健福祉に関する業務において8年以上の実務経験を有すること
・大学卒業以上、又は大学を卒業した者と同等と認められる資格を有すること

まとめ

以下の表に医療観察制度の流れをまとめています。

医療観察制度

過去問

第18回 問題66

「医療観察法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 指定入院医療機関は、都道府県知事により指定される。
2 入院先は、指定入院医療機関の中から付添人が決定する。
3 指定医療機関の管理者は、地方裁判所の長と連携を図り、社会復帰に関する相談、援助などを行う。
4 入院患者の外出、外泊は、外部評価会議の承認が必要である。
5 指定入院医療機関の管理者の申請による退院は、地方裁判所の審判により決定する。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療医療及び観察等に関する法律」のことである。

1 指定入院医療機関は、都道府県知事により指定される。
誤りです。都道府県知事ではなく厚生労働大臣が指定します。

2 入院先は、指定入院医療機関の中から付添人が決定する。
誤りです。付添人ではなく厚生労働大臣が決定します。

3 指定医療機関の管理者は、地方裁判所の長と連携を図り、社会復帰に関する相談、援助などを行う。
誤りです。地方裁判所長ではなく、保護観察所長と連携を図ります。

4 入院患者の外出、外泊は、外部評価会議の承認が必要である。
誤りです。外部評価会議ではなく、指定入院医療機関の管理者の承認が必要です。

5 指定入院医療機関の管理者の申請による退院は、地方裁判所の審判により決定する。
正しいです。

第23回 問題62 

「医療観察法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 精神保健審判員は生活環境調査を実施する。
2 検察官からの申立てを受けた家庭裁判所は合議体を形成する。
3 通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。
4 地方裁判所は処遇の実施計画を作成する。
5 入院処遇における退院の決定は、保護観察所が行う。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

1 精神保健審判員は生活環境調査を実施する。
間違いです。これは社会復帰調整官の役割です。

2 検察官からの申立てを受けた家庭裁判所は合議体を形成する。
間違いです。家庭裁判所ではなく地方裁判所です。

3 通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。
正しいです。通院処遇期間は、原則3年で最大2年の延長が可能です。

4 地方裁判所は処遇の実施計画を作成する。
間違いです。処遇の実施計画を作成するのは保護観察所長です。

5 入院処遇における退院の決定は、保護観察所が行う。
間違いです。退院の決定は地方裁判所が行います。入院を決定したのが地方裁判所ですから。

第22回 問題67

「医療観察法」における鑑定入院に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
4 入院期間は、原則 4 週間が限度とされている。
5 鑑定は、精神保健審判員が実施する。
(注)1  「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
2  「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
正しいです。

2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
正しいです。精神科治療を行うことで、通院治療が可能であるか入院治療が必要であるか等の判断が行われます。

3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
間違いです。鑑定入院は「鑑定入院医療機関」で実施されます。

4 入院期間は、原則4週間が限度とされている。
間違いです。鑑定入院期間は原則として2か月以内で必要な場合は1か月の延長が可能です。

5 鑑定は、精神保健審判員が実施する。
間違いです。鑑定は鑑定入院した対象者の鑑定を行うよう裁判所に命令された医師が行います。
この鑑定医の条件は、精神保健判定医または同等以上の学識経験を有する医師とされています。

第21回 問題68 

次のうち、「医療観察法」に規定された重大な他害行為として、正しいものを2つ選びなさい。
1 危険運転致死傷
2 強盗
3 強制性交等
4 略取・誘拐
5 恐喝
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

選択肢2と3が正解です。現在では強制性交等は「不同意性交等」となっています。

社会福祉士 第28回 問題66

「医療観察法」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 指定入院医療機関は、都道府県知事により指定される。
2 入院先は、指定入院医療機関の中から付添人が決定する。
3 指定医療機関の管理者は、地方裁判所の長と連携を図り、社会復帰に関する相談、援助などを行う。
4 入院患者の外出、外泊は、外部評価会議の承認が必要である。
5 指定入院医療機関の管理者の申請による退院は、地方裁判所の審判により決定する。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及 び観察等に関する法律」のことである。

1 指定入院医療機関は、都道府県知事により指定される。
間違いです。指定入院医療機関は厚生労働大臣が指定します。

2 入院先は、指定入院医療機関の中から付添人が決定する。
間違いです。付添人(弁護士)ではなく厚生労働大臣が決定します。

3 指定医療機関の管理者は、地方裁判所の長と連携を図り、社会復帰に関する相談、援助などを行う。
間違いです。地方裁判所ではなく保護観察所の長です。

4 入院患者の外出、外泊は、外部評価会議の承認が必要である。
間違いです。入院患者の外出や外泊は、指定入院医療機関の管理者が精神保健指定医の意見を聞きながら検討します。
外部評価会議というのは、医療観察法病棟の運営状況や治療内容に関する情報公開を行いその評価を受けることで運営の透明性を確保するための会議です。

5 指定入院医療機関の管理者の申請による退院は、地方裁判所の審判により決定する。
正しいです。

第24回 問題67

「医療観察法」における地域処遇に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方裁判所は、6か月ごとに通院処遇の継続の確認を行う。
2 指定通院医療機関は、対象者自身で決めることができる。
3 担当の精神保健参与員は、日常生活における相談に応じる。
4 指定通院医療機関での通院医療費は、「障害者総合支援法」における自立支援医療の対象となる。
5 対象者本人は、原則として保護観察所が主催するケア会議に出席して意見を述べることができる。
(注)1 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。
2 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

1 地方裁判所は、6か月ごとに通院処遇の継続の確認を行う。
誤りです。通院処遇は原則3年とされていますので、6か月ごとに通院処遇の継続確認はしません。

2 指定通院医療機関は、対象者自身で決めることができる。
誤りです。指定通院医療機関は、地方裁判所の審判で決定されます。

3 担当の精神保健参与員は、日常生活における相談に応じる。
誤りです。精神保健参与員ではなく社会復帰調整官です。

4 指定通院医療機関での通院医療費は、「障害者総合支援法」における自立支援医療の対象となる。
誤りです。医療観察法に基づく指定入院医療機関、指定通院医療機関での医療費は公費負担で自己負担はなく、自立支援医療(原則1割負担)の対象ではありません。

5 対象者本人は、原則として保護観察所が主催するケア会議に出席して意見を述べることができる。
正しいです。通院処遇では保護観察所長が処遇実施計画を作成し、ケア会議についても計画に盛り込まれますが、ケア会議には本人も出席して意見を述べることができます。

第24回 問題68

次の記述のうち、「医療観察法」における社会復帰調整官に関する説明として、正しいものを1つ選びなさい。
1 通院による処遇終了が決定された者に対して、生活環境の調査を行う。
2 通院による処遇が決定された者に対して、精神保健観察を行う。
3 当初審判中の者に対して、生活環境の調整を行う。
4 入院による処遇が決定された者に対して、生活環境の調査を行う。
5 入院による処遇が決定された者に対して、精神保健観察を行う。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

1 通院による処遇終了が決定された者に対して、生活環境の調査を行う。
誤りです。生活環境の調査は、検察官によって医療観察法の処遇申立てが行われ、地方裁判所がそれを受けて、保護観察所に対して生活環境の調査を依頼します。

2 通院による処遇が決定された者に対して、精神保健観察を行う。
正しいです。

3 当初審判中の者に対して、生活環境の調整を行う。
誤りです。生活環境の調整は、入院処遇の早期から行うものです。

4 入院による処遇が決定された者に対して、生活環境の調査を行う。
誤りです。生活環境の調査は処遇決定前に行われるものです。

5 入院による処遇が決定された者に対して、精神保健観察を行う。
誤りです。精神保健観察は通院処遇中に行われるものです。

第25回 問題66

「医療観察法」における鑑定入院に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 入院期間は、6か月が限度である。
2 地方裁判所の命令に基づく。
3 精神保健審判員が鑑定する。
4 医療観察病棟で実施される。
5 精神保健福祉士を付添人として選任できる。
(注) 「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に 関する法律」のことである 。

1 入院期間は、6か月が限度である。
誤りです。鑑定入院は原則2か月(最長3か月)です。

2 地方裁判所の命令に基づく。
正しいです。

3 精神保健審判員が鑑定する。
誤りです。鑑定医が鑑定します。

4 医療観察病棟で実施される。
誤りです。鑑定入院医療機関で実施されます。

5 精神保健福祉士を付添人として選任できる。
誤りです。精神保健福祉士ではなく弁護士を選任できます。

第26回 問題68

医療観察制度に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1  「医療観察法」の目的は、対象者の社会復帰の促進である。
2  対象となる重大な他害行為には、恐喝が含まれる。
3  審判による処遇の決定は、精神保健指定医2名以上の診断に基づき行われる。
4  精神保健審判員には、精神保健福祉士が任用される。
5  入院処遇は、急性期、回復期の2段階に分けられる。
(注)  「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことである。

1  「医療観察法」の目的は、対象者の社会復帰の促進である。
正しいです。

2  対象となる重大な他害行為には、恐喝が含まれる。
誤りです。重大な他害行為は、殺人、放火、強盗、傷害、不同意性交等、不同意わいせつ、です。

3  審判による処遇の決定は、精神保健指定医2名以上の診断に基づき行われる。
誤りです。審判による処遇の決定は、裁判官1名と精神保健審判員1名の合議体で行われます。

4  精神保健審判員には、精神保健福祉士が任用される。
誤りです。精神保健審判員に任用されるのは精神科医です。精神保健参与員に任用されるのが精神保健福祉士です。

5  入院処遇は、急性期、回復期の2段階に分けられる。
誤りです。入院処遇は急性期、回復期、社会復帰期の3段階に分けられます。

第27回 問題8

Aさん(30歳、女性)は、母親への殺人未遂の疑いで逮捕された。しかし、起訴前鑑定で、統合失調症に罹患しており「母親を殺せ」という幻聴の強い影響下で犯行に及んだと示された。このため、犯行当時にAさんは心神喪失状態だったと認められて不起訴処分とされ、検察官から「医療観察法」の審判が申し立てられた。次の記述のうち、申立て後、最初に行われることとして、正しいものを1つ選びなさい。
1 地方裁判所が鑑定入院を命じる。
2 地方裁判所において裁判官と精神保健審判員が合議を行い、処遇を決定する。
3 精神保健参与員が意見を述べる。
4 多職種チームによる治療を行う。
5 指定入院医療機関においてCPA会議を実施する。
(注)「医療観察法」とは、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及
び観察等に関する法律」のことである。

選択肢1が正解です。

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次は、医療観察制度のキーパーソン「社会復帰調整官」です。

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