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【施設症】脱施設化と回転ドア現象

施設症 【新カリ】精神医学と精神医療
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施設症とは

施設症インスティテューショナリズム)とは、刺激に乏しい施設環境で長期間生活することによって、感情平板化、意欲低下、主導性の欠如、などの特有の陰性症状を伴う状態です。

イギリスの精神科医バートン(Barton, R.)は、精神科病院の長期入院患者にこのような特徴が見られ、それらは病院で過ごした結果であり、精神疾患の症状とは別の病気だとして「施設神経症」と名付けました。

歴史

施設症は、精神病院や強制収容所、刑務所などの閉鎖社会の病理として第二次世界大戦前後から注目されるようになります。

1950年代

精神障害者と知的障害者の施設で施設症が批判されるようになり、各国で脱施設化の方針が出されるようになります。この脱施設化の流れは、ノーマライゼーションの理念や地域ケアの実践と連動していきます。

1960年代

イギリスではウィング(Wing, J. K.)らの疫学的研究で施設症の概念が明らかにされ、病院から地域ケアヘと政策転換が進められました。

カリスマくん
カリスマくん

精神科リハビリテーションで有名なウイングだね。

アメリカではケネディ大統領が精神障害者や知的障害者に対して脱施設化を打ち出し、大規模州立精神科病院が閉鎖されます。しかし、十分な治療をせず退院した障害者たちは再度入院したりホームレスになったり、いわゆる「回転ドア現象」が生じてしまいました。

ケネディ大統領は1963年に暗殺され、ジョンソン大統領の時代に社会保障法が改正される流れは以下の記事で。

カリスマくん
カリスマくん

1965年の社会保障法改正でメディケアやメディケイド等の公的医療保険制度ができたね。

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過去問

第27回 問題21

A高等学校では、保健体育の授業において、心の健康への意識を高め、共生社会への理解を深めることを目的として「こころの健康教育」を実施している。今回は近隣にある B精神科病院のC精神保健福祉士と、精神障害当事者のD さん(63歳、男性)がゲストスピーカーとして招かれた。授業はC精神保健福祉士とDさんの対話形式で進められた。その中で、Dさんは精神科病院における35年の入院生活やグループホームへの退院、今の生活の様子を語った。Dさんからは、長年病院内で変化のない集団生活を続けたことで気力が失われ、退院を諦めるようになったこと。入院当初は強い思いであった退院を決断するのに長い時間を要したこと。退院した今は、地域に出て良かったと実感するといった気持ちが語られた。
次のうち、Dさんの語りから考えられる入院中の状態として、適切なものを1つ
選びなさい。
1 施設症
2 施設コンフリクト
3 トラウマ
4 スティグマ
5 回転ドア現象

選択肢1が正解です。「長年病院内で変化のない集団生活を続けたことで気力が失われ、退院を諦めるようになったこと。」という施設症の症状が出ています。

第11回 問題24

精神科リハビリテーションの歴史的事項に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 1950年代、アメリカのグリーンブラット(Greenblatt,M.)は、「部分入院」の概念の下に地域への移行ステップを示した。これにより、クラブハウスが各地に広まった。
2 1963年、アメリカではケネディ大統領教書により脱施設化が打ち出され、大規模州立精神科病院が閉鎖された。それに伴って「回転ドア現象」が生じた。
3 1960年代、イギリスのウイング(Wing,J.)は、「施設症」(二次障害)を発見した。これを基に各地でデイケアが開始された。
4 1980年代、アメリカのリバーマン(Liberman,R.)は、「ストレス-脆(ぜい)弱性-対処技能モデル」を提出した。これによりハーフウェイハウスが各地に設けられた。
5 1990年代、ニューヨークのファウンテンハウスのグループは、ACT(包括的地域生活支援プログラム)モデルの原型を作った。これにより包括的なケアマネジメントのノウハウが確立した。

選択肢2が正解です。選択肢3は「1960年代、イギリスのウイング(Wing,J.)は、「施設症」(二次障害)を発見した。」は正しいですが、精神科デイケアは戦後すぐ、カナダやイギリスで始まっています。

第22回 問題30、31、32

ある日、E精神保健福祉士の下に、以前支援していたFさんから手紙が届いた。
次の手紙(事例)を読み、問題 30から問題32までについて答えなさい。
〔事 例〕
前略
お久しぶりです。お元気でしょうか。
私は変わりなく、毎日W地域活動支援センターに通っています。
先日、心の整理もつき、母が亡くなってから3年ぶりに、やっとお墓参りに行ってきました。
そこでふとEさんのことを思い出し、手紙を書かせていただきました。
Eさんにお会いしたのは、入院して10年が過ぎようとした頃でした。
あの頃は長い入院生活が続き希望も持てず、スタッフにやってもらうことが当たり前の、全てが受け身の生活でした。(問題 30)
しかし病気の母を看取りたいと思うようになり退院しましたよね。
間もなく母が亡くなり、何か昼間にできることはないだろうかとEさんに相談しました。
私はこれまでの人生を振り返り、母に従ってきたこと、それが正しいことだと思っていたことを話しました。
Eさんは私の話をじっくりと聞き、「これまで、大変だったのですね。でも今のFさんは退院後も規則正しい生活を送り、何かをしてみたいという向上心がありますよね」と話してくれました。(問題 31)
相談の後、Eさんが立ち上げに関わったW地域活動支援センターを紹介され、自由に話し合える雰囲気が気に入り利用することにしました。
そこで病気について勉強する講座を受講したところ、仲間同士が支え合う活動に興味が湧きました。
自分の経験をいかせるのではないかと。
そして、ピアサポーターとしてW地域活動支援センターで活動を始めました。
そのことを知ったEさんが来て、「ここのスタッフとして働いてみては」と言われましたよね。
あの時は正直、驚きました。
ピア同士だからできていた話を仕事にすることや、利用者からスタッフに変わることによる立場の違いに戸惑いを覚えたからです。(問題 32)
今も十分とはいえないですが、何とか仕事も続いています。
入院中には今の私を想像すらできなかったです。
お墓参りで母に報告もできました。Eさんもお忙しいと思いますが、ご自愛ください。
またお会いできる日を楽しみにしています。
かしこ 

問題30 次のうち、この時点でのFさんの状態を示す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 パターナリズム
2 バーンアウト
3 モラトリアム
4 インスティテューショナリズム
5 カタルシス

選択肢4が正解です。
インスティテューショナリズムは施設症とかホスピタリズムとも呼ばれますが、本来治療のために入院したのに長期入院になってくると生活能力が低下したり意欲が低下して依存的傾向が強くなったり陰性症状が現れることです。

パターナリズムバーンアウトは重要なので、リンクを確認。

問題31 次のうち、この時にE精神保健福祉士が行ったアプローチとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 課題中心アプローチ
2 ナラティブアプローチ
3 解決志向アプローチ
4 システムズアプローチ
5 ストレングスアプローチ

選択肢5が正解です。

問題32 次のうち、この時点でのFさんの状態を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。
1 アンビバレンス
2 対処能力
3 役割葛藤
4 二重拘束
5 スティグマ

選択肢3が正解です。

次の記事

次は、統合失調症について。

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