摂食障害とは
摂食障害には、神経性無食欲症、神経性過食症、過食性障害、回避制限性食物摂取症、異食症など、様々な種類があります。ここでは神経性無食欲症(拒食症)、神経性過食症(過食症)について見ていきましょう。
神経性無食欲症(神経性やせ症)
神経性無食欲症は、体重が減り続けているにもかかわらず食事を制限する一方、頭の中は食べもののことにとらわれています。青年期または成人期早期に発症するのが通常で、女性に多く見られ、無月経になるなどの症状が出ます。この疾患の原因は不明で、女性であることを除けば危険因子はほとんど特定されていません。
以下の2タイプに分かれます。
神経性無食欲症の種類 | 内容 |
---|---|
摂食制限型 | 食事を制限する |
過食排出型 | 食事を制限するが、定期的な過食や排出行動(意図的な嘔吐など)もみられる |
治療で注意が必要なのは、リフィーディング症候群です。
リフィーディング症候群とは、慢性的な栄養障害がある状態に対して、急激に栄養補給を行うと発症する代謝性の合併症です。
飢餓状態が長く続いたあとに急に栄養補給されると、心不全や呼吸不全、腎不全、肝機能障害ほか多彩な症状を呈することがありますので、点滴などで急激に栄養補給してはいけません。
神経性過食症
神経性過食症は、大量の食べものを短時間で次から次へと摂取し、その後、意図的な嘔吐や下剤の服用など、食べ過ぎを埋め合わせる行為を繰り返し行うことが特徴です。
過食性障害
過食性障害は、過食が特徴ですが、その後に食べ過ぎを埋め合わせようとする嘔吐などを行うことはありません。
過去問
第22回 問題4
次のうち、成人で発症した神経性無食欲症の典型的な症状として、正しいものを2つ選びなさい。1 頻脈2 無月経3 過活動4 低身長5 過呼吸
1 頻脈
誤りです。頻脈ではなく徐脈が起こります。
2 無月経
正しいです。
3 過活動
正しいです。
4 低身長
子どもであれば成長途上で身長が伸びないことがありますが、問題文は「成人で発症した」となっています。
5 過呼吸
典型的症状ではありません。
第21回 問題7
精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM−5)における「神経性やせ症/神経性無食欲症」の診断基準に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。1 はっきりと確認できるストレス因がある。2 体重は標準体重以上である。3 対人恐怖がある。4 やせることに対する恐怖がある。5 過食を生じるタイプもある。
1 はっきりと確認できるストレス因がある。
誤りです。ストレスが原因であることが多いですが、患者によってさまざまです。
2 体重は標準体重以上である。
誤りです。体重は標準体重よりはるかに少ないです。
3 対人恐怖がある。
誤りです。対人恐怖は原因の1つになっていることもありますが。
4 やせることに対する恐怖がある。
誤りです。体重増加に対する恐怖心があります。
5 過食を生じるタイプもある。
正しいです。神経性無食欲症には摂食制限型と過食排出型があります。
第27回 問題2
神経性無食欲症に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 身体に対する認知のゆがみがある。
2 甲状腺機能が亢進する。
3 無月経となる。
4 性差では男性に多い。
5 身体的活動が低下する。
選択肢1と3が正解です。
第25回 問題2
- 次のうち、神経性大食症の患者に認められる、過食に対する不適切な代償行為として、正しいものを1つ選びなさい。
1 虚言
2 睡眠薬の大量服薬- 3 緩下剤乱用
4 ネット依存- 5 リストカット
選択肢3が正解です。
次の記事
次は、解離性障害について。
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