リワークとは
リワーク(rework)とは、「return to work」の略語で、精神疾患によって休職している労働者の職場復帰のことです。
リワークプログラムとは
リワークプログラムとはリワークを実施するプログラムで、休職中に職場へ通勤することを想定した訓練を行います。
リワークプログラムは、実施機関や目的によって以下の3種類あります。
・職リハリワーク@地域障害者職業センター
・職場リワーク@企業内
実施機関 | 対象 | 費用 | 目的 | |
---|---|---|---|---|
医療リワーク | 医療機関 | 休職者 | 健康保険 | 治療と再休職の予防 |
職リハリワーク (職場復帰支援) | 障害者職業センター | 休職者&事業主 | 労働保険 | 職場適応 |
職場リワーク | 企業内 | 休職者 | 企業 | 労働可否の見極め |
職リハリワークは「職業リハビリテーション」とも呼ばれます。
医療リワークプログラム
上で紹介したように、障害者職業センターが実施するリワークプログラムは、休職者と事業主双方に支援することで職場適応を目指しますが、医療リワークプログラムではまず休職に至った原因となるうつ病などの治療を行います。
最初に集団生活に慣れるためのスポーツやレクレーションなどから始め、仕事に近い内容の軽作業や復職後に再発しないための教育や心理療法が行われます。
休職になった時の働き方や考え方を振り返り、休職に至った要因を確認・考察して再度休職しないためにはどうすればよいか、考えます。
過去問
第23回 問題39
次の記述のうち、精神科デイ・ケアにおけるリワークプログラムとして、適切なものを1つ選びなさい。
1 職場復帰してから開始する。
2 病気の再発防止よりも、作業能力向上を目指す。
3 プログラム終了の判断は産業医が行う。
4 グループワークで、職場の人間関係の課題が再現された場合に気付きを促す。
5 本人の同意の有無にかかわらず、情報は精神科デイ・ケア内にとどめる。
1 職場復帰してから開始する。
間違いです。職場復帰前(休職中)に参加します。
2 病気の再発防止よりも、作業能力向上を目指す。
間違いです。病気の再発防止(再休職の予防)が目的です。
3 プログラム終了の判断は産業医が行う。
間違いです。主治医などに情報共有しながらリワーク担当医が判断します。
4 グループワークで、職場の人間関係の課題が再現された場合に気付きを促す。
これが正解です。
5 本人の同意の有無にかかわらず、情報は精神科デイ・ケア内にとどめる。
間違いです。本人の同意があれば情報共有することもあります。
第21回 問題158
次のうち、地域障害者職業センターの業務として、正しいものを2つ選びなさい。1 職業準備訓練のあっせん2 障害者雇用納付金の徴収3 職場復帰支援(リワーク支援)の実施4 高度の職業リハビリテーションに関する研究・開発5 職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣
1 職業準備訓練のあっせん
誤りです。これは障害者就業・生活支援センターの業務です。
2 障害者雇用納付金の徴収
誤りです。これは独立法人高齢・障害者雇用支援機構の業務です。
3 職場復帰支援(リワーク支援)の実施
正しいです。地域障害者職業センターの業務です。
4 高度の職業リハビリテーションに関する研究・開発
誤りです。これは障害者職業総合センターの業務です。
5 職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣
正しいです。地域障害者職業センターの業務です。
次の事例を読んで、問題49から問題51までについて答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(26歳、女性)は大学卒業後Y社に就職した。
配属された部署は残業が多く忙しい職場であった。
直属のL上司はKさんを熱心に指導した。
生真面目なKさんは、L上司の期待に応えようと、自宅に仕事を持ち帰って仕上げるように心がけた。
そのため、仕事が頭から離れず、寝てもすぐに目が覚め、食事も砂を噛んでいるようになっていった。
体調の悪さを自覚したKさんは、社内報に掲載されていたY社が契約している従業員支援プログラム(EAP)機関のことを思い出し、相談に行った。
そこで、Kさんは担当のM精神保健福祉士に、「他の社員に迷惑が掛かるから休めない」「眠れなくてつらい」「このまま消えたい」と涙ながらに訴えた。
M精神保健福祉士は、「よくここまで耐えてこられましたね」とねぎらった上で、次のように提案した。(問題 49)
数日後、KさんはZ精神科病院を受診し、うつ病と診断され入院することとなった。
1か月を経過した頃、Kさんは面会に来たM精神保健福祉士へ、「主治医が退院を許可してくれない。休んでしまった分、早く穴埋めをしたいのに」と訴えた。
面会の1週間後、M精神保健福祉士は、主治医とKさんとL上司とで退院について協議した。
そこで、M精神保健福祉士は次のことを提案した。(問題 50)
後日、入院中であったKさんは、精神科デイケアを体験利用した。
そこでは自分と同じような状況にある利用者と交流して、焦っているのは自分だけではないと感じた。
退院後、精神科デイケアを利用し始めた。
3か月後、M精神保健福祉士は、デイケアスタッフ、主治医、L上司、Kさんと仕事に関して話し合った。
従業員に業務負荷を強く感じさせる労働環境の改善も必要だと、L上司も考えるようになった。
Kさんは負荷の少ない配慮された環境で仕事を再開した。
それから数か月たった頃、M精神保健福祉士は労働環境の改善が必要と考え、L上司に「働き方を考える研修会」の実施を提案した。
そこで、Kさんは体験談を語った。(問題 51)
研修会の後、KさんはM精神保健福祉士に、「初めは、今までのように働けない自分を弱い人間だと感じていた。でも、同じ病の人と出会い、体が壊れるまで働くのは個人にとっても会社にとっても良くないと、今は思う」と語った。
第22回 問題49
次のうち、この時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 入院を勧める。
2 転職を勧める。
3 気分転換として旅行を勧める。
4 受診を勧める。
5 パワーハラスメントで訴えるよう勧める。
これは、選択肢4が正解です。
第22回 問題50
次のうち、この時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを 1 つ選びなさい。
1 「職場適応訓練制度を利用してはどうでしょうか」
2 「就労定着支援事業を利用してはどうでしょうか」
3 「リワークプログラムを利用してはどうでしょうか」
4 「ストレスチェックを受けてはどうでしょうか」
5 「職業評価を受けてはどうでしょうか」
選択肢3が正解です。
第22回 問題51
次のうち、この場面において、M精神保健福祉士が果たした役割として、適切なものを1つ選びなさい。
1 スーパーバイザー
2 アドボケーター
3 エバリュエーター
4 メディエーター
5 ファシリテーター
これは、選択肢2が正解です。
M精神保健福祉士はL上司に研修会の実施などを提案していますので、アドボケイターとしての役割を果たしています。
次の記事
次は、精神科リハビリテーションについて。
コメント