研修制度
OJT(On The Job Training)
OJT(On The Job Training)は、日常の業務の中で行われる教育訓練です。
部下や後輩の性格や人格性は対象としません。
Off-JT(Off The Job Training)
Off-JT(Off The Job Training)は、通常の仕事から離れて行われる教育訓練です。
職場外での研修だけでなく職場内の集合研修なども(通常の仕事から離れている場合は)含みます。
SDS(Self Development System )
SDS(Self Development System )は、職員の職場内外での自主的な自己啓発活動を職場が認知し、経済的時間的援助や施設の提供等を行う仕組みです。
エルダー制度(ブラザー・シスター制度)
エルダー制度は、先輩職員が後輩や新人職員に対して、仕事に関する指導を行う制度です。
実際の業務をしながら研修を行うOJTに似ています。
医療業界では、先輩看護師が後輩看護師を指導するプリセプター制度というのがありますが、これもエルダー制度の一種です。
メンター制度
メンター制度は、先輩職員が後輩や新人職員対して、業務に関する指導や生活面・精神面でのサポートを行う制度です。
エルダー制度との違いは、業務に関することだけでなく生活面や精神面など全体的なサポートを行う点です。
指導する先輩職員をメンター、指導される後輩職員をメンティーと呼びます。
SWOT分析
SWOT分析とは、ビジネスやマーケティング戦略の目的・目標を実現する上で、内部・外部の環境因子を以下の4つの視点で分類整理するための手法です。
弱み (Weaknesses)
機会 (Opportunities)
脅威 (Threats)
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それぞれの頭文字が何を表すのか覚えておいてね。
専門用語
キャリアアンカー
キャリアアンカーは、アメリカの心理学者シャイン(Schein,E.H.)が提唱した概念で、個人がキャリアを選ぶ際に、犠牲にしたくない軸となる価値観や能力のことです。

アンカーというのは錨(いかり)のこと、船の。
キャリアプラトー
キャリアプラトーは、「キャリアの停滞」という意味です。特に中年期などの特定の時期でのキャリアの停滞という意味で使われることが多いです。

プラトーは「高原」という意味。高原は登る時はしんどいけど、登ってみると平坦だね。つまりキャリアの「停滞」という意味になるわけ。特に中年期までずーと登ってきた人が停滞するという意味で使われるよ。
コーチング
コーチングは、人の自発性を引き出し、自主的な行動を引き出していくためのコミュニケーション法です。
上司と部下が対話を重ねることで部下に目標達成のために必要なスキルや知識を蓄えさせ目標に向けて行動を促すプロセスです。
メンタリング
メンタリングは、知識や経験豊かなメンターと未熟なメンティーが交流し、対話や助言によってメンティーのキャリア面や心理面をサポートすることです。
CSR(Corporation Social Responsibility)
CSRは、企業の社会的責任のことです。従業員や客、株主や環境などあらゆるものに対する社会的責任のことです。
CSV(Creating Shared Value)
CSVは、「共通価値の創造」と訳されますが、企業の事業活動を通じて社会的な課題を解決し、社会貢献と企業利益を両立しようという考え方です。CSRはその会社で行っている事業には関係のない内容も対象ですが、CSVはその会社の事業活動を通じて社会貢献するという点が異なります。CSRは、例えば電機メーカーが森林保護活動をやったり等、CSVは例えば飲料メーカーがお茶の販売を通じて茶農家の育成をしたり等です。
暗黙知と形式知
暗黙知とは経験などにより蓄えられた知識のことで、形式知とは言語化され客観化された知識のことです。
仕事をする上では、個人の持っている暗黙知を、他人に共有できる形式知にして、職場で水平展開することが重要です。

熟練社員が長年の経験から得てきた知識を、文章化したりマニュアル化したりして社内の人間が共有できるようにする、これが「暗黙知の形式知化」だよ。
過去問
第20回 問題116
次の事例を読んで、問題に答えなさい。〔事 例〕
Hさん( 22歳、精神保健福祉士 )は大学を卒業し、4月から精神科病院に勤務している。就職後3か月間、各病棟での研修と各職種からの説明を受けることによって、病棟機能とその役割、各職種の業務を知り、病院組織についての理解が進んだ。その後、相談室主任であるJさん(42歳、精神保健福祉士)担当の病棟に配属され、分からないことがあると尋ねることができ、少しずつではあるが業務が行えるようになってきた。次のうち、Hさんの成長を促したものを表す用語( 略語 )として、正しいものを1つ選びなさい。
1 IPE2 CBT3 IMR4 FPE5 OJT
各病棟での現場研修ということで、選択肢5のOJTが正解です。
第25回 問題55
〔事 例〕
人口7万人のQ市は、人口減少や世帯の小規模化が進み、地域のつながりの希薄化が課題となっている。X障害者基幹相談支援センターのE相談支援専門員(精神保健福祉士)(以下「E専門員」という。)はピアサポーターから、地域の事業所は、精神障害者への偏見の修正や生活のしづらさの改善のために、地域にどう関わり、支援に活かしているのか」と聞かれた。E専門員は地域内の取組を伝えなから、残り幾つか課題が頭に浮かび、それを整理する必要があると考えた。そこでE専門員は、翌月開催されたQ市「協議会」の部会で、「各事業所及び事業所がある地区の強みと弱みなどを可視化して、現状や課題を探ってみませんか」と参加者に提案した。その後、8事業所から参加協力を得て学習会を開催し、市内各地区のマトリックス表を作成した。実施後に参加者から、「地区別の各事業所の課題と役割が分かった」「市全域と各地区との関係が分かった」「現状を各地区の実践にどう活かすかが今後の課題だ」と報告があった。
次のうち、マトリックス表の作成時に用いられた方法として、正しいものを1つ選びなさい。
1 PERT法
2 グラウンデッド・セオリー
3 SWOT分析
4 デルファイ法
5 アクションリサーチ
選択肢3が正解です。
第23回 問題58、59、60
次の事例を読んで、問題58から問題60までについて答えなさい。
〔事 例〕
政令指定都市のP市保健所で働くL精神保健福祉相談員(精神保健福祉士)(以下「L相談員」という。)に、P市に住む父親のMさん(80歳)と長女のAさん(50 歳)の事で、民生委員から相談があった。
「ごみが庭にあふれ悪臭もあり、近隣住民が不安に思っている。Mさんは外に向かって怒鳴るし、Aさんの姿を見なくなった。精神的な病気があるかもしれないので保健所に相談に来た。MさんとAさんが心配だ」とのことだった。
次の日、L相談員はMさん宅を訪問した。(問題 58)
玄関から声をかけるとMさんは、「俺の勝手だ。ほっといてくれ」と強い口調で言いドアを閉めた。
Aさんの姿は確認できず、名刺を置いてMさん宅を離れた。
L相談員は、Mさん親子についての情報収集や今後の支援方法を、関係機関と検討する必要があると判断し、地域包括支援センターに連絡した。
その結果、地域ケア会議が開かれることとなり、初回会議にはL相談員の他に地域包括支援センターの保健師、社会福祉協議会の福祉活動専門員、P市高齢福祉課の担当者、民生委員が参加した。(問題59)
L相談員が訪問を続けると、Aさんが玄関先に出てくれるようになった。
2か月が過ぎた頃Aさんから、「何とかしようと思っていました。でも父は怒りやすくなり、話もかみ合わなくて。私も気分が落ちて、朝は布団から出られなくなって。2年前に15年ほど勤めた会社を辞めたんです。それから、どうしようもなく…」と話があった。
詳しく話を聴くと、Mさんには認知症、Aさんには精神疾患の疑いがそれぞれあり、支援を希望していることが分かった。
チームによる支援を続け1年が過ぎた。
少しずつ居住環境は改善されつつある。
また、現在Mさんは通所介護(デイサービス)を利用しており、Aさんは精神科クリニックへ通院を続けている。
Aさんは、「気持ちが落ち着いてきたような気がします。でもこれからですね」とL相談員に話した。
この支援をきっかけに、L相談員はMさん親子のような課題を持つ方への支援の充実や支援体制の構築が必要と考え、「障害者総合支援法」に基づくP市協議会で検討することを提案してきた。(問題 60)
(注) 「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
次のうち、この時点のL相談員が行った援助方法として、正しいものを 1 つ選びなさい。
1 アドミニストレーション
2 アサーション・トレーニング
3 アウトリーチ
4 アクションリサーチ
5 アクティング・アウト
選択肢3が正解です。
次の記述のうち、この時点の会議におけるL相談員の提案として、適切なものを1つ選びなさい。
1 「積極的な介入をそれぞれ競い合いましょう」
2 「期間を設定して、アセスメントをしましょう」
3 「所属の専門性をいかした独自の支援計画を立て、それぞれ進めましょう」
4 「チームの人数をもっと増やして、支援体制を作りましょう」
5 「訪問は、どんな状況でも同じメンバーでしましょう」
選択肢2が正解です。
次の記述のうち、L相談員がP市協議会で最初に提案したコミュニティソーシャルワーク実践の内容として、適切なものを1つ選びなさい。
1 SWOT分析を用いて、住民意識や支援者の状況を把握する。
2 P市の全戸訪問を行い、セルフネグレクトの可能性がある世帯を把握する。
3 Mさん家族に対応した支援ネットワークの形を変えず、他の地域課題にも対応していく。
4 P市全域を対象として、見守りボランティアを募る。
5 メーリングリストを活用して、クライエントの個人情報を迅速に共有する。
選択肢1が正解です。
SWOT分析とは、「強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字から命名されたフレームワークです。
社会福祉士 第30回 問題125
人材育成や研修に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 経験学習モデルは、能動的実験・具体的経験と内省的観察・抽象的概念化との間の循環を否定している。
2 暗黙知と形式知の、共同化、表出化、連結化、内面化からなる循環的な変換過程は、組織の知識を創発するのに有効である。
3 OJTでは、職員の職務遂行能力は対象外である。
4 OFF-JTは、作業遂行の過程で行う訓練方法のことである。
5 エルダー制度は、新入社員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。
1 経験学習モデルは、能動的実験・具体的経験と内省的観察・抽象的概念化との間の循環を否定している。
間違いです。
経験学習モデルは、経験→省察→概念化→実践というプロセスを踏み、サイクルを回すことで人は学習するという考え方です。
2 暗黙知と形式知の、共同化、表出化、連結化、内面化からなる循環的な変換過程は、組織の知識を創発するのに有効である。
これが正解です。
形式知は言語化され客観化されたものですが、暗黙知は経験や勘に基づく知識のことです。
3 OJTでは、職員の職務遂行能力は対象外である。
OJTは職務を通じての研修なので間違いです。
4 OFF-JTは、作業遂行の過程で行う訓練方法のことである。
OFF-JTは職場を離れての研修ですので間違いです。
5 エルダー制度は、新入社員のセルフラーニングを通じた自己啓発の仕組みである。
間違いです。
エルダー制度は新入社員が少しでも早く、職場や仕事に慣れる事が出来るよう、先輩社員が指導を行いサポートする制度のことです。
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次で最後の記事です。よくぞここまでがんばってきましたね。
最後に、頻出単語帳で全キーワードをまとめます。
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