被害者等基本法
犯罪被害者の権利利益を保護するための法律である犯罪被害者等基本法を見てみましょう。
目的
第1条 この法律は、犯罪被害者等のための施策に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等のための施策の基本となる事項を定めること等により、犯罪被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的とする。
定義
犯罪被害者等には、家族や遺族も含まれます。
第2条 「犯罪被害者等」とは、犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう
犯罪被害者等基本計画
犯罪被害者等基本計画の策定は政府に義務づけられています。
第8条 政府は、犯罪被害者等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画(犯罪被害者等基本計画)を定めなければならない。
損害賠償請求の援助
損害賠償請求の援助は、国及び地方公共団体の責務です。
第12条 国及び地方公共団体は、犯罪等による被害に係る損害賠償の請求の適切かつ円滑な実現を図るため、犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についての援助、当該損害賠償の請求についてその被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充等必要な施策を講ずるものとする。
調査研究
調査研究は、国及び地方公共団体の責務です。
第21条 国及び地方公共団体は、犯罪被害者等に対し専門的知識に基づく適切な支援を行うことができるようにするため、心理的外傷その他犯罪被害者等が犯罪等により心身に受ける影響及び犯罪被害者等の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進並びに国の内外の情報の収集、整理及び活用、犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等必要な施策を講ずるものとする。
犯罪被害者等施策推進会議
犯罪被害者等施策推進会議は内閣府に設置されることを覚えておきましょう。
第二十四条 内閣府に、特別の機関として、犯罪被害者等施策推進会議を置く。
2 会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 犯罪被害者等基本計画の案を作成すること。
二 前号に掲げるもののほか、犯罪被害者等のための施策に関する重要事項について審議するとともに、犯罪被害者等のための施策の実施を推進し、並びにその実施の状況を検証し、評価し、及び監視し、並びに当該施策の在り方に関し関係行政機関に意見を述べること。
過去問
第26回 問題18
- 犯罪被害者等基本法に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 国及び地方公共団体は、保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとされている。
2 都道府県警察本部には、犯罪被害者等施策推進会議を設置することが定められている。
3 犯罪被害者の心理的外傷等に関する調査研究は、裁判所の責務とされている。
4 地方公共団体には、犯罪被害者等基本計画の策定が義務づけられている。
5 法務省内に犯罪被害者支援ネットワークを設置することが定められている。
1 国及び地方公共団体は、保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとされている。
正しいです。
2 都道府県警察本部には、犯罪被害者等施策推進会議を設置することが定められている。
誤りです。都道府県警察本部ではなく、内閣府に置くことが定められています。
3 犯罪被害者の心理的外傷等に関する調査研究は、裁判所の責務とされている。
誤りです。裁判所ではなく、国及び地方公共団体の責務です。
4 地方公共団体には、犯罪被害者等基本計画の策定が義務づけられている。
誤りです。地方公共団体ではなく政府の義務です。
5 法務省内に犯罪被害者支援ネットワークを設置することが定められている。
誤りです。このような規定はありません。
社会福祉士 第37回 問題63
2004年(平成16年)に制定された犯罪被害者等基本法に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
1 同法における犯罪被害者等とは、犯罪等により害を被った者及び遺族を除いた家族をいう。
2 同法の目的の一つに、再犯の防止と犯罪による被害を受けることの防止がある。
3 同法に基づき、ストーカー行為を規制するための処罰が整備された。
4 同法の基本的施策の一つに、損害賠償の請求についての援助がある。
5 同法に基づき、政府は犯罪被害者等基本計画を定めなければならない。
1 同法における犯罪被害者等とは、犯罪等により害を被った者及び遺族を除いた家族をいう。
誤りです。犯罪被害者等には遺族も含まれます。
2 同法の目的の一つに、再犯の防止と犯罪による被害を受けることの防止がある。
誤りです。再犯防止や犯罪被害防止が目的ではなく、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることが目的です。
3 同法に基づき、ストーカー行為を規制するための処罰が整備された。
誤りです。犯罪被害者等基本法にはこのような規定はなく、ストーカー規制法に規定されています。
4 同法の基本的施策の一つに、損害賠償の請求についての援助がある。
正しいです。
5 同法に基づき、政府は犯罪被害者等基本計画を定めなければならない。
正しいです。
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